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死期予見  作者: 本郷真人
第七章
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(3)

 蔵岡警察署における勤務初日。特別チームは、先ほど蔵岡警察から手渡された事件資料の吟味を始めた。

「やはり、山小屋の件は何か引っかかるし、事件の犯人である花村のぼるの犯行動機も不確かであり、警察官によって射殺された渡部斉紀巡査部長の行動についてもよく分からないところがある。そして、佐々木警部補が最初に疑問に持った、渡部巡査部長の所持品から出てきた、被害者の一人である今井佳枝さんの指があまり良い保存状態でなかったことも気になる。証拠写真を見るとこの指は想像していたより痛んでいる。もしも本当に彼女のことを狂信的に愛していたのならば、そんな人物がこんな扱いをするとは思えない。」

 木下警部が自分達の推測どおり、この事件は解決したと言うにはほど遠い事を改めて認識していると、山口刑事が手を挙げた。

「すみません。二点気になることがありまして。」

 山口刑事は蔵岡警察署による分厚い報告書から数枚引き抜くと、それを掲げてチームメンバーに見せた。

「まず一点。事件の後も現在行方不明となっている花村のぼるの祖父についてです。かなりの高齢であったことから、おそらくはもう死亡しているのではないかと推測されますが、未だに発見できていないと報告書には書かれていました。花村のぼるの今までの手口から、ただ埋めただけとは考えにくいです。私は、おそらくは花村のぼるにはまだ隠し場所のようなものがあったのではないかと思います。そして二つ目なのですが、この報告書には花村が次の標的にしていた人物がいたと記されています。その人物の名前は書かれていたのですが、詳しい情報はそれ以外ありませんでした。おそらくは捜査が早期に終了となったからだと思われます。花村の自宅からその人物を隠し撮りしたと思われる大量の写真が見つかったことから、次の標的であると蔵岡警察は結論づけたようでした。この人物について詳しく調べたら花村の犯行動機やどんな人物をターゲットにしていたのかが分かるかもしれません。」

 山口刑事が発言を終えると、木下警部はそこから今後のチームメンバーの行動を決めた。

「山口刑事、ありがとうございます。やはりあなたの洞察力はチームの中でもずば抜けていますね。そして、これからの行動なのですが、まず、山口刑事と宮本刑事は事件の関係者に聞き込みに行ってください。あなたたち二人なら何か見つけられるかもしれません。」

「「はい。」」

 木下警部の指示に対して、山口龍平刑事と宮本彰吾刑事が応えた。

「次に佐々木警部補と菅原刑事は蔵岡警察署で当時捜査に当たっていた刑事達へ聞き込みをお願いします。」

「「はい。」」

「最後に玉橋刑事なのですが、花村のぼるが渡部刑事に殺される前に、次の標的とした人物についての捜査をお願いします。その人物から何か花村の行動原理についての発見があるかもしれません。」

「分かりました。」

 玉橋里美刑事が応えた。

「それでは、各々捜査をお願いします。明日の16時の会議で本日の成果の報告会を行います。」

 木下警部の指示で捜査官達は一斉に行動に移った。しかし、玉橋刑事は会議室から出て行こうとしたその足をふと止め、木下警部に尋ねた。

「そういえば、警部。花村の最期の標的となった人物の名前は何というのでしょうか?これから蔵岡警察署の捜査官達にその人物について聞きに行こうと思いますので。」

「ああ、そういえばまだ言っていなかった。」

 玉橋刑事の質問に、木下警部はうっかりしていたといったようだ態度を取った。

「名前は遠藤明、26歳女性。事件当時は24歳だった。」

 木下警部はそう言って、持っていた遠藤明についての報告書を玉橋刑事に手渡した。

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