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死期予見  作者: 本郷真人
第一章
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(2)

 2009年、8月9日。

 その日はとても暑い日だった。蝉の声がうるさく、外に出ればたちまち汗が間欠泉のように噴き出し、止まらなくなるような猛暑日だった。

 当時、私は中学生としての最初の夏休みを過ごしていたのだが、その日は羽虫どものうるさい羽音によって起こされた。一日前まで『わんぱく旅行』という小中学生対象の県が企画している旅行イベントに参加しており、昨日の夜にようやく家に帰ってきたところだった。

“ぶーーーん”

大量の羽虫が飛んでいるような羽音がした。

私の部屋は一軒家の二階にあり、一階には玄関、リビング、台所、そして父と母の寝室があった。

“ぶーーーーん”、“ぶーーーーん”

 羽音はどうやら両親の寝室から鳴っているようだった。私には一週間以上前からわかっていたことではあったが、部屋のドアを開けてみるとやっぱり二人の死体があった。死後2日ぐらいだろうか。だから旅行から帰った後もこの部屋を開けていなかったのだが、こんなに五月蠅くては仕方がなかった。二人とも天井からぶら下がっている。二人の体からは何かの液体がぽつぽつとしたたり落ちたため、床には大きなシミができていた。

”ぶーーーーーーーーーーーーーーーん”

部屋を開けた瞬間、異臭と供に大量のハエが部屋の外に出てきた。一週間以上前からわかっていたとはいえ、この状況にはこたえるものがあった。

「部屋の掃除、大変そうだな。」

 その時に私が思ったことだった。こんな部屋を掃除しないといけないと考えるだけで憂鬱な気分になった。


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