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死期予見  作者: 本郷真人
第三章
12/69

(3)

 8月8日。

「遠藤明という女を徹底的に調べるぞ。」

 足立警部は出勤すると開口一番にそう言った。

「しかし、例の連続殺人において安藤興介以外の被害者と彼女を結びつける接点は全く見つかりませんでしたよ。それに安藤興介と彼女の関連においても飲み会でトラブった上司と部下っていうだけで、それだけで殺人に結びつけるのは、正直に言って難しいと思います。」

 渡部刑事がそう言っても足立警部は揺るがなかった。

「犯人でないにしろ、俺は彼女が何かしらの情報を持っているように思えた。正直に言うと俺も犯人は彼女ではなく別の誰かだと思っている。被害者は安藤興介含めて5人だが、そのうち4人が男性だった。仮に身体の自由を奪う薬を持っているとはいえ、たった一人で犯行に及んだとは考えにくい。それに大量のテトロドトキシンを入手した経路も彼女からはわからなかった。」

「それならなおさら無関係なのではないのですか?」

「それでもだ。あの女は何か知っている。尋問したときも事件からわざと話題を変えようとしていた。あれは知られたくない何かがあったんだ。だから変えた。それにもしかしたら半分演技だったかもしれない。俺を怒らせてわざと本題からそらすために警察を侮辱するようなことを言ったとも考えられる。」

 足立警部の考察に渡部刑事も何かに気づかされたような顔になった。

「言われてみれば確かに途中からわざと私たちを怒らせていたようでした。おそらく急に時間を取られたことに対する仕返しのような部分もあったかもしれませんが、話題を本題からすり替えようとしていた・・・?」

「そうだ。そう考えると納得できる。あの女と話した後に、彼女についてこっそり他の社員に少し聞き込みもしたが、普段は冷静で急に慌てたりとか、感情をあらわにしたりはしないそうだ。最初から演技だったんじゃないのか?」

 そう話す自分の言葉に引き出されるように、足立警部の顔に笑みが浮かび広がっていった。

「だとしたらあの女の演技は、最初は上手くいっていたかもしれないが、最終的には自分で墓穴を掘ることになったっていう大失敗で終わったというわけだ。あの演技が逆に俺に不信感を与えることになっちまったんだからなあ。コイツは笑えてきた。どうやらあんまり知能犯ってわけではないらしいな。」

「もしかしたら、本当にただの無関係の人だったりするかもしれませんよ。」

 足立警部の発言に対して渡部刑事がそのように言うと、足立警部は怒ることなく続けた。

「それならまた捜査は振り出しに戻るが、あの女と事件は無関係だったってことがわかったということになるだけだ。また別の観点から調べていけば良い。捜査っていうのはそうやって一つ一つ減らしていって、最後の一つ、つまり答えにたどり着くことだ。なにも無駄なことはない。」

足立警部はそう言うと県警本部から応援にやって来た刑事達の方をちらっと見ると、渡部刑事に近づいてささやいた。

「本部からの応援にやってきた奴らもまだ何の手がかりもつかめていないそうだ。だから焦ることはない。最期にうちらの方が先にホシを捕まえれば良いんだからな。」

 二人の刑事は顔を見合わせると早速遠藤明という女性について調べ始めた。


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