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幕間 ザール地区交番所の日常〈その①〉


『テュリアと愉快な仲間様』


という名義で飲屋の予約が取られていた。いくら自分のための歓迎会とはいえ、こうまで自分の名前を押し出した予約の取られ方をされると恥ずかしいものを感じる。テュリアは恨めしげに予約した人物の方へと視線を向けた。歓迎会を主催したカルナヴァルは飲屋に着くと同時にノットンと二人で話し込んでいた。そのため、テュリアの視線には気付いていない。


「やっぱり、テュリアの名前はまだ使えるな」

「先輩とぼくの名前はアウトですからね、ついでに部長も」

「あの何の話をしているんですか?」

「なんでも無い。さて、飲むぞ~」


テュリアは訝しく思いながらも、自分のために歓迎会が開かれたことに浮かれてしまい、その疑問を直ぐに忘れてしまった。歓迎会そのものは大いに盛り上がった。カルナヴァルの破天荒な捕り物事件譚やノットンの失敗談や恨み言は酒の肴には最高の料理で、更に途中から仕事を抜け出してきた黒猫部長も加わって賑やかで楽しい時間を過ごすことになった。大いに盛り上がったので二件目の飲屋に移動する運びになった。どうやらカルナヴァルも一軒の飲屋で歓迎会を終わらせるつもりは最初からなかったようで、しっかり二件目の飲屋の予約も取っていた。



『酒屋の斜向いにある施設に勤める方々様』



2件目の予約名義を見たテュリアは思わずカルナヴァルに質問を投げ掛けた。


「どうして素直に『ザール地区交番所』の名前で予約しないですか?」

「交番の名前で予約しようとすると予約できない事が多いんだ、何故か」


その時のカルナヴァルの返答にテュリアは全く要領を得られなかった。

テュリアがこの答えの要領を得たのは歓迎会から数日経った日のことである。



                  ―― ザール地区交番所の日常〈その①〉完

    







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