90 魔王の存在価値
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「陛下!どうなさいましたか!?」
「あぁウエット。おはよ。あのさ、聖女様に会えないかな?」
「聖女様に謁見ですか?可能です。貴女は魔王なのですから」
「いつ行っていいか聞いといて」
「御意」
「俺はただのルーナって言う女児だ。普通に話せよ」
「お望みのままに」
あちこちで居心地悪いな。ラファドやシャルルと遊びたい気分だ。周りの人間は、女神のような魔王と呼ばれているらしい。
女神だし魔王らしいから、真実なんだけどな。
部屋のベランダに出る。
「駆け巡る風よ!」
ジンはいないが、近しいものが傍で見守ってくれてる気がする。風が集まり、体が浮く。うん。前の世界と変わらない。何か安心した。
この世界も優しい。魔力に満ちてはいるが、精霊達も、ちゃんと変わらずいる。早く帰らないとな。心配させたくない。
魔王様とか期待されても困る。俺は、ちっぽけな女児なのだ。変な悪魔のオマケついたけど。あいつらなら、仕方ないって笑ってくれるだろう。
その日の午後、神殿で聖女様に会う事が出来た。
「ごきげんよう魔王陛下」
「いや。俺は別に陛下になった訳じゃないし」
「近隣諸国、全てが認める魔王陛下ですよ。昨日から平和条約を結びたいと鳩便が凄いのですよ?」
「魔王がいるから戦争やめたって事?」
「そのようです」
「俺さ、元の世界に帰りたいんだけど…。帰ったらまた戦争になる?」
「すぐにはお返し出来ませんが、魔王が現れる国と言うだけで戦争は回避出来ると思います」
「そっか…」
すぐには戻れないのか。暖かい陽だまりの草原や森が懐かしい。ここは魔族の国だからか、空は暗く森も鬱蒼としている。
「帰れるようになったら、教えてくれ」
「承知いたしました」
俺はまだ、この国でやる事があるらしい。ま、俺らしくいりゃいいか。
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