86 聖女
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「この先を抜けると、神殿がございます。そこに聖女がいらっしゃるので、少し話を聞いてください」
「聖女様ねぇ。どんな子だろ」
「お告げを聞いたり、国の安全のために祈りを捧げたりと神殿にこもって生活されています」
「え。何だそれ。その子何歳?」
「見た目は幼さの残る顔をしてらっしゃいますが、実年齢は不明です。女性に歳は聞くなって話です」
その子はずっと聖女と崇められお告げやなんやと苦労絶えないだろうなぁ。
「ここです」
「おぉーーかっけーーー!!」
中はまるで整備された水晶の洞窟のようだ。たまに原石っぽいのがあるのが、また夢がある。
いつの間にか、そこに銀髪の長い髪の少女がキラキラとしていた。瞳の色も銀色だ。リーファになった時に着ているような、古代の可愛い服を着てるって感じ。
「ようこそ、魔王様」
凛とした声で聖女様が口を開いた。
「どうか、戴冠の儀を行ってください」
「…それって、今の姿でも良いのか?」
「構いません。戴冠の儀の時に、魔王の姿になると思います」
マジか?ゲームの魔王みたいだったら筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)でガオーとかなるのかな。それは…何か人気無さそうで嫌だ。
「戻れるんだよな?元の姿に?」
「魔王様のご意志のままに変化できると思います」
なるほど。女神になる時と一緒って感じか。なら大丈夫だな。疲れそうだけど。
女神から魔王か…。真反対の存在だな。
「戴冠式って今日やるのか?」
「いいえ。次の新月の夜に行います。3日後ですね」
「3日後か。分かった。やらなきゃ進まないし、俺やるよ」
「感謝致します。それでは今日はごゆっくりなさって下さい」
ニッコリと可愛い顔で微笑む。
「さ、陛下。行きましょう」
ウエットに言われ、その場をあとにした。扉が閉じる寸前まで聖女は微笑んでいた。
「なぁウエット。聖女様は、あそこに住んでるのか?」
「そうです。聖女様は神との交信の為に、世俗には触れないように神殿でずっと暮らします」
「え?外出とかは?」
「許されてません。納得した上で聖女をしておられます」
そんなの幽閉じゃないか。よくやる気になったな。運命…感じてるのかな。俺が運命を感じるように。
「聖女様って、何て名前?」
「名前などはありませんよ。聖女になった時点で、世俗の名前は捨てます」
「何だそれ。俺も魔王になったら、ルーナじゃなくなるのか?」
「いいえ。魔王様はお名前を使って頂けます」
「じゃ、次からはルーナでいいよ」
「それでは公務の時以外は、名前で呼ばさせて頂きますルーナ様」
「よろしくな、ウエット」
「その話し方は、貴女の世界では普通なのですか?」
「貴女の世界…か。いや、俺は17歳で死んだ男で、魂の片割れの今の体に入っただけだよ」
「魂の…片割れ??」
んー。こちらの世界では魂の分裂は無いみたいだな。凄く不思議そうな顔をしている。
「ま、ようは見た目は女児だけど、中身は17歳男子って事」
「な、なるほど」
「まぁ気にすんな。すぐ慣れるさ。そのうち俺も体に引きずられて、女っぽくなるかもしんないしなー」
読んで頂いて感謝!感想聞かせて貰えると嬉しみですっ
ご意見や、こんな話になったら面白いなってあったら、教えてください。




