7 それぞれの想い
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この体は産まれた時の判定で、魂が弱いと診断された。超金持ち貴族の両親は、娘が目を覚ます事を願い魂の定着と、成長速度を遅くする魔法を術士に頼んだ。
こうして弱く産まれてくる子は、世界でも少ない。まさかそれが自分達の娘に降りかかるなど思いもしなかった
寝たままでも栄養も清潔な体も維持出来る魔法もかけてある。
両親は娘に何が出来るか悩んだ。
そうだ。うちの家名に釣り合う婚約者を、数名選出しておこう。年頃に目覚めたら、さぞ喜ぶだろう。
複雑な気持ちでもあった。娘が目を覚ますという事は、別世界の娘の死を意味するからだ。
「どうか…健やかに…」
片方の娘にも思いを馳せるのだった。
雅也が世界の事のおさらいや、婚約者の話等を聞いている時ナナ…美奈は大混乱していた。
父親に続いて、弟までこちらの世界に来るなんて!しかも弟は妹だったし!?訳が分からない。
父さんには、今度報告しよう。自分の家へ着くと、走って自室に行きベットに横になった。
意識を現世に巡らせる。
次に目が覚めた時は、自室のペットで横になっている美奈になっていた。
これから弟のお葬式だ。
「何で雅也まで…」
母のフォローや、何やらと感情がごちゃ混ぜだった。
そろそろ母に異世界の話をしても良いかもしれない。信じてくれない…だろうな。
弟は気楽でいいわね、と呟いた。