32 スタート地点
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『個人が守護龍を持つとはのう』
感心したように水貴が言う。
『私達もルーナの友達だよ!』
そう言えば、そうなってたっけ。
「ヨロシク頼むよ!」
『常に我らがいるとは限らない。代わりのものを傍に付けよう。普段は見えない仲間だ』
バッと4人が手を上げる。その瞬間、俺の体が何かに包まれた気がした。
『これで良い。風はジン、水はディー、地はムー、火はサーラ。これはついでだが、光の精霊ルオーがルーナの側近として付いた。必要な時は呼ぶが良い』
『あの、ね。呼ばなくてもルーナなら皆助けてくれると思うよ?』
気の弱そうな緑歌が言う。
「分かった。ありがとう」
『ルーナよ、また会おう』
4人の精霊の長の姿が消えた。
1人森の中にたたずむ。
何か濃厚な1日だったな。色々な友や、守ってくれる存在が出来た。
この小さな体でも、生き抜いていける気がする。何か…涙が出てきた。何だろう。
いきなりこの世界に女児として放り込まれて、生きる場所が変わって不安だった。
周りはどんどん俺を受け入れているから、俺は何とか俺として生きようともがいていた気がする。
ルーナではなく、雅也として。でもそれがもう戻れない事も分かっていて…。
心細かったのかもしれない。
ルワードが守護龍になった時、風姫らが友になると言ってくれた時、他の精霊達の守護を受けた時。
とても温かかった。ホッとして、心のどこかが抜けた穴のような部分が、闇のような場所が光で満たされた気がした。
俺は暫くそこで泣き続けた。やってける。雅也として、ルーナをやっていける。俺らしく、変化を恐れずに進める。
「こんにちは、異世界」
俺はやっとスタート地点に着いた気分だった。




