3 現世界と異世界
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「失礼しますナミール夫妻。お嬢様がお目覚めになったという事で、説明にまいりました」
「おーナナ!待っていたぞ!娘に話して聞かせてやってくれ」
「はい。こんにちはルーナ様」
そう言って覗き込んできたナナの顔を見て、驚きすぎて固まってしまった。
赤い髪をしたナナと呼ばれた女性は、姉と瓜二つだったのだ。本人が髪をカラーして、ファンタジーなコスプレをしていると言われれば納得してしまう程に似ていた。
声も姉と同じだ。ここに来て家族に似た人間の存在に目が潤んでしまった。
「では、あなたがいた現世界と、あなたが今異世界と感じている世界の話からしましょうか」
動けないので、とりあえずナナの話を大人しく聞くことにした。
現世界と異世界、この2つは双子のように別次元に重なるように存在しているらしい。
そしてたまに、同じ時間に魂の繋がった子供が誕生する事があるらしい。大体が6対4の割合で魂が振り分けられ、同時に誕生する。
だが4の割合の魂を持つ方は不安定で、亡くなりやすいと言う。5歳まで生きられるかどうからしい。4の割合の魂は6の割合の魂に融合し、何事も無く生きていく。
現世界ではその知識が無いので、突然死や短な子を授かったとしか認識が無い。
ここ異世界では裕福な家の者は4の子供に魔法をかけ、成長を遅らせ魂が体から離れないようにしているらしい。
いつか6の割合の魂が亡くなり、戻ってくる事を信じて…。
「だから貴女の年齢は10歳くらいなの。現世界では貴女は15、6歳じゃないかしら?2つに魂が別れた体は、同じ姿形で産まれてくるから成長すれば違和感なく過ごせると思うの」
ただし…とナナは言う。
「ごく稀に5対5で産まれてくる事があってね。私がそう。どちらの魂にも引き合って、現世界とこの異世界を移動する力があったりするのよね」