25 森での出会い
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少し屋敷の周りを散歩してくる。そう言って家を出た。勿論1人行動だ。
護衛なんて付けられたら、自由に動けなくて不便だ。ラファドの家は…
「コマンド!」
メニュー画面から探索、ラファドの家を検索。
うん。そんなに離れてないな。
メニューを閉じて歩き出す。ラファドの家は森を抜けた先にある。
その時、風が吹いた。何かを知らせるように、足に風がまとわりつく。
自然とそちらに足が向いた。
その先に居たのは、形容しがたい程の美形な人。長い銀髪がサラサラとしていて、ローマ人の様な布を巻き付けた服を着ていた。
「見世物ではない」
「あ、いや、ごめんなさい」
誰だろう?男でもなく女でも無いような容姿。美しすぎる。その人の周りだけキラキラとしているようだ。
「綺麗…」
思わず言葉が出る。それを聞いたその人は、フッと鼻で笑った。
「それ以外は何も持たぬ」
それだけでも十分だと思うが。何か困っているのだろうか?
「コマンド」
メニュー画面から、その人の事を検索した。どこの種族にも属さない龍、と書かれていた。
龍?人龍とかではなく、本物の龍?だから人型を取っていると、こんなに美しいんだ…。
メニューを閉じて、その人に話しかける。
「何をしてるんですか?」
「……生きている」
「他に、は?」
「お主は力を持つものだな」
見破られてる!?どんな力なのか、まだ良く使いこなせてないけど。
「我を殺してくれ」
「…え?」
「惨めに生きるのなら、惨めに殺されたい」
「何で…そんな事を?今せっかく生きれているのに!生きれなくて死んじゃった人間も居るのに!何で!?」
親父の葬式の時を思い出し、ボロボロと泣いてしまった。
「気にするな…去るがいい」
「…明日もここにいる?」
「生きているなら、いるだろう」
「…分かった。明日また来る」
そこから離れ、ラファドの家には行かずに自宅へと急いだ。
龍がこの世界にとって、どんな存在なのか知りたい。あの死んだ目をした悲しい龍の事を知って、話がしたい。
慌てて帰ってきたので、ジョセが驚いたような顔でこちらを見た。
「どうなさったんです?」
「調べ物をするなら…書物のたくさんある場所ってどこだ?」
「書物…。書物館がありますが、このお屋敷の書物庫の方が多いと思いますよ」
「案内してくれ!」
驚いたジョセフの案内で、書物庫へ急いだ。コマンドでも調べられるかもしれないが、深く知るにはやっぱり自分で調べないとな。
「ここでございます」
いかにもな大きな扉。
「今お開けします」
カチャリと音を立てて鍵が開いた。
「長らく使っておりませんでしたので、空気の入れ替えを致しましょう」
広い書物庫の窓を開けていく。古本屋のような、少しワクワクする匂いがした。
「掃除は数ヶ月に1度行っておりますので、本にはホコリや傷みは少ないと思います」
「分かった!」
「ルーナ様は何をお調べになりたいのですか?」
「この世界の龍について知りたい!」
「ほぅほぅ。それなら、こちら辺りに多く保存してあると思います。龍に興味がおありとは。男の子ですねぇ。おっと失礼しましたルーナ嬢」
イタズラな笑顔で開けた窓を閉めて、書庫から出ていった。
ジョセって面白い爺さんだよなぁ。両親でさえ傷物に触れるように、こちらを伺うように話しかけて来るのに。




