21 ルーナ歩けば…
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「では、ここでお待ちしております」
「はーい」
馬車を公園付近に停めてもらい、町を散策する事にした。
色々と考えると、頭が痛くなる。
遥か彼方の自分も女性で、その記憶がボンヤリあったり。チート能力で無敵だったり。
俺の所へ来た者が言ってた、運命が沢山編み込まれてると言う事。
俺一人が背負うには、重すぎた。
「戻れるなら雅也に戻りてぇなぁ」
そう思いながら歩いていると、目の前に男の子が横から飛び出して来たのが見えた。そのまま路上に飛び出していく。
このままじゃ轢かれる!
「コマンド!!」
目の前にメニュー画面が。周りは止まっていた。
慌てて男の子の所へ行く。ルーナより上くらいの年齢だろうか。馬車に驚いた顔で固まっている。
その手には女性の帽子が握られていた。
これ取ろうとして、突っ込んだのか。見た目より子供なんだろうな。
男の子の体を歩道に持っていき抱きつく。
これで時間が動いた時に、飛びついて助けたように見えるか?
メニューの閉じるボタンを押す。
一気に時間が動き出す。慌てて止まる馬車。それに気づいた周りの悲鳴。
ドサッと歩道に投げ出される俺と男の子。
「あ…あわ…ぁ」
「大丈夫??」
「う、ん」
後ろを振り返る。助けてなかったら、ぶつかっていたな。
「ラファド!!!」
悲鳴のような声を出して、母親と思われる女性がこちらに駆け寄って来た。
「母様…」
ギューッと抱きしめ、ホッとした様子で涙を流す。
「ごめんなさい。僕…」
「もう同じ事をしてはダメよ。帽子なんて買えば良いしなくてもいいの。貴方は、たった1人なのよ」
「はい」
男の子も泣き出した。この子…15歳くらいにしては、幼い感じだなぁ。
「この子の母です。助けて頂いて、ありがとうございます」
落ち着いて、俺の存在に気づいたらしい。
「いえいえ。誰も怪我してないですし、大丈夫ですよ」
「貴女が助けてくれなかったら、ラファドは馬車に轢かれていたでしょう。感謝しかありません!」
「いやー、大したことしてないので」
命懸けで助けたように見えてんだろうなー。何だか良いことをしたのに、罪悪感が…。
「じゃ、これで…」
「いえ!お礼をさせて下さい!」
「いや、ほんと大丈夫なんで」
「あ…ら?貴女…ルーナ様ですか?」
おっと。この人、大貴族の人間か。俺を知ってるのは婚約者とその親だけなはず。
「あ、はい」
「ルーナ様??」
ラファドも泣き止んで、こちらを覗き込んでくる。




