20 姉訪問
20
「おっはよ〜我が弟♡」
「相変わらず元気だな、美奈姉」
「元気だけが取り柄だからねぇ。それに母さんが堕ちてると、私まで沈めないからね」
「母さん、落ち込んでる?」
「お父さんについで、あんたまでだからねー。私だけは元気でいないと。幸い両方の世界に体があるからね。無茶しても移動されるだけだし」
「無茶苦茶言うな、お前」
「好きでこうなったんじゃないわよ」
「美奈姉は、生まれて直ぐに両方の行き来してたのか?」
「んー…それはね」
美奈姉が生まれた時、異世界では大騒ぎになったらしい。魂5対5の人間なんて、古い書物を読んでも出てこない特殊な物だからだ。
俺の性別違い、見た目違いも特殊らしいが。
とりあえず、この子が物事を理解する年齢になるまでは、現世界に置いた方が良いだろうという考えで落ち着いた。
こちらの世界に置いておいたら、こちらの方での魂の定着が濃すぎてしまうかららしい。
そして現世界との繋がりが無くなり、死んでしまうと考えたからだ。
美奈姉が移動したのは、小学生になってかららしい。適応能力の高かった美奈は、あっさりと納得。
2つの世界を行き来する日々が続いたらしい。
「逞しいな」
「まぁね。遊び場が増えて楽しい、秘密って言葉で浮かれてたクソガキだっただけよ」
「いや、色々背負ってたんだな」
「ま、運命ってやつよ。雅也の方が、これから大変な毎日になるんじゃない?婚約者問題やらさ」
それは言うな、と思う。クソみたいな貴族のガキが今の所いないのが救いだ。
それなりに厳しい教育されてるんだろうなぁ。大貴族様だもんな。
…俺もか。習い事とか始まったら嫌だなぁ。。。
「ま、元気そうで良かった」
「まぁな」
「相変わらず可愛い人形みたいな子が、男言葉使うの慣れないわね」
「ほっとけ。好きで女の子してるんじゃねぇよ」
「1年後には立派な女子になってるかもよ?」
有り得ない有り得ない。中身は雅也で……その前は女の人だったみたいだけど。
「ならないよ!」
考えを振り切るように、強めに答えた。明日は散歩でもするかなぁ。
家にいても、何となく気まずいし。両親とは最低限の会話しかしていない。向こうが俺に何とか近づこうとしてるのが、余計に苦しくなる。
女だったら、何か変わったのかな。
「じゃ、またね」
「あぁ。またな」
生きてる自分。喜ぶべき事だし、生きたくても死ななきゃならなかった命もある。
こうなったら、周りの人の為チートこっそりしながら頑張るかな。




