2 ここはどこ?
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「ん………」
瞼が重い。体も重くて動かせる気がしない。
「ルーナ!ルーナ!」
男女の声が誰かを呼んでいる。俺はそんな人…知らないぞ。良いから俺を何とかしてくれないかな。
何でこうなったんだっけ?ボンヤリした意識を奮い立たせて、これまでの事を考える。
あー…女の子を助けたんだっけ。俺はトラックに跳ねられて…。んー、その女の子が同じ病室でルーナと言う名前なのだろうか?
俺の家族は?体…動かないのヤバくないか?
でも瞼は開きそうだ。
目をそっと開ける。予想に反して、天井が白くなかった。水色の天井に花の飾りが施されたシャンデリア。
病院…じゃないのか?それとも金持ちだけが入れる特別病棟とか?
「ルーナ!目を覚ましたんだね!」
「ルーナ!ママよ?分かる?」
声の方に目をやると、夫婦…だろうか?若い2人がこちらに向かって話しかけている。
逆側を見たが、そちらはピンク色の壁だった。
誰もいない?なら、この2人は俺に話しかけているのか?
どうにか声を出そうとする。
「……あ…の」
その声に自分で驚いた。耳に響く自分の声が、自分のものでは無く。もっと高く幼い感じに聞こえたのだ。
「だ…れ」
か細い乾いた女の子の声。それが自分から出ている事に驚愕する。
「大丈夫よ、ルーナ。今ナナが説明をしに来てくれるから。今までの世界と違ってるけど、安心していいのよ?」
どこのどの辺に、安心要素があるのだろうか?今までの世界と違う?何を言ってるんだ?
だが先程の声…俺の声じゃ無かった。不安が胸を押しつぶす。