19 頭の中グチャグチャ
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頭の中がグチャグチャだ。
前世?何だよそれ、とか思えないのが自分の中から湧き上がる遠い記憶。
昔の俺も女なのかよ。昔の事を考えるのはやめよう。女だった記憶なんて、体に引きずられやすいとかも言われてて。
ドンドン女になってしまいそうだ。
俺は雅也だ。リーファではない。ただ、ルーナである事も確かで。女じゃないのに、女だった記憶が蘇る。
やめろ。やめろ。やめてくれ。
俺は俺だ。雅也は死んだんだよ、ともう1人の俺が囁いてくる。
俺は…俺は…雅也だ…。
今は寝てしまおう。雅也だった頃の夢が見られると良いな。
「おはようございます。ルーナ様」
「もう朝…か。学校の夢見たな。懐かし」
もうあの場所には戻れない。俺はこの体で生きていくしかないんだ。
「今日はナナ様がおいでになるそうです」
「ナナが?」
二つの世界を行き来する姉。
美奈姉はどう思ってんだろうな。それなりの苦労があっのかな。
親父は生き生きとしてたけど…。
俺って何なんだろなー。
普通に生きてきた時は、何も考えて無かった。当たり前に生きる事って、最高に幸せだったんだな。
まぁこうして女としてでも生きられてる俺も、幸せなんだろうけど。
そんな事をボンヤリ考えている間に、有能なメイドさんが着替えやら朝の支度をしてくれていた。
朝食を食べ終わった頃に、外に馬車が来てザワついていた。
姉到着である。現世界のだけど。