17 2人目の婚約者
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今日は2人目の婚約者が来るらしい。こないだの奴は、つっけんどんな雰囲気だったけど、良い奴だったよな。
大貴族の中の誰か何だろうけど。甘やかされて育ったんだろうなぁ。まぁ俺もだけど。
生きたいように生きろが親父の口癖だしな。未来の自分が恥じる行為はするな、とも言ってたっけ。
「ルーナ様、お越しです」
「はじめまして、ルーナ嬢」
サラサラと流れる長い金髪。少しウェーブのかかった髪は、長さは違えど俺とよく似ていた。
「よろしく。俺の事は聞いてる?」
「婚約者全て周知の事実です。気にしないで平気だよ」
向かい側に座って、こちらをジーと見てくる。
「何だよ、何か珍しいか?」
我ながらチートの珍獣だとは思う。この国が滅んでも、俺は生き残れる自信がある。
「ルーナ嬢を初めて見てから、ずっとずっと起きた君と会いたかったんだ」
「はぁ?似てるから?」
「似てるよね、僕たち。瞳の色以外」
よく見ると、赤みを帯びたブラウン系の不思議な色をしていた。角度によっては、真っ赤に見えるかもしれない。
「僕の名前はレミット。あのね、この国には…伝説があるんだよ…」
そう言うと話し出した。とても苦しい昔のレミットの過去。
どうやらこの国で金髪は珍しく、稀に産まれてくるらしい。その中で赤い瞳を持つものは、国を不幸に導く悪魔の子と言われてるらしい。
レミットは普通の家庭に産まれた。悪魔悪魔と罵られ、家事全般をやらされ食事もゴミ箱を漁る程度。食べれる草を食べたりしてたらしい。
「何だよ…それ…」
「僕が5歳くらいの頃、お使いの途中でたおれてしまってね」
それに気づいたのが、今の上貴族の夫婦らしい。
目を覚ますと綺麗な部屋に、痒くならない肌着に服。
「目を覚ましたかい?」
男性の声がした。咄嗟に目を隠す。
「瞳の色なら見たよ。この国に不幸をもたらすと言われる組み合わせな事を」
「僕…帰ります…」
「いや、今日から君は僕達の息子だよ。嫁は子供の出来ない体でね。引き取りたいと言うので、交渉したら、すぐに手放したよ」
「僕が…居たら…不幸に」
「そんなの迷信だよ。君は君らしく、学を得て本当の幸せな家族を得るんだ」