123 よし、そうしよう!
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子ギツネの方を見ると、青くなって固まっていた。
「お前⋯元の姿に戻ってくれ。何か不愉快」
「は、はいっ!」
ボワンッと煙とともに現れたのは、子ギツネだった。
「お前⋯名前は?」
「地紗です。魔王様」
「女の子か?」
「は、はい」
「とりあえず本来の人型になって貰えるか?」
「はいっ!」
またボンッと変身した。
金髪のボブヘア。俺に変身して人を騙そうとする、勇気とか度胸とかは感じられなかった。
普通の大人しそうな女の子。
「何でこんな事をしたんだ?」
「魔王様が現れた事で、妖怪達が身の危険を感じて暴走しそうなんです」
「あー⋯なるほど?」
「魔王様は不在の日が多いと聞きまして⋯成り代わって妖怪の良さとか、魔王国に入らなければ何もしないって訴えかけようと思って⋯」
「か弱そうに見えて、大胆だなぁ。妖力も余り無いのに」
妖力なら天白の方が断然強かった。妖怪は連携が取れてないって事か?
「地紗は他の妖怪と、一緒に行動したりしてるのか?」
「基本我らは群れません。一緒にいても、争いの種しか生みませんから」
今回の魔王乗っ取り大作戦は、地紗の単独行動か。
「陛下、この者いかがいたしましょう?本来なら死罪が妥当な所ですが」
ウエットの言葉に、千紗がヒュッと息を飲んだ。確かに⋯。魔王に変身して、乗っ取ろうとした事実。
第2の偽魔王が、俺のいない間に現れても困るのだ。見せしめは必要かもしれない、が⋯。
どうしたもんかな。んーー。良し!火種にはなるかもしれないが、力を示すには良いかもしれない。
「よし!千紗はサクッと首切って死罪だな」
俺は満面の可愛い笑顔で、そう言ってのけるのだった。気絶する千紗と支えようとするウエット。垣根で話を聞いてたラバーが飛び出してきた。
「マジで?」
「マジのマジ。処刑は大々的に広めて、明日の正午に決行な!」
お知らせのビラはバッセとヴァルクに頼んだ。そろそろ命令の一つもしてやらないと、ヴァルクは勝手に動きそうだ。
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