122 偽物の正体
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「ウエット!こっちに戻って!」
戻らないと分かると、こちらに向かってきた。抱きつくように俺にのしかかって、転んだ2人はゴロゴロと転がった。
「陛下!」
慌ててウエットが駆け寄ってくる。
「陛下、お手を⋯」
「「俺がルーナだからな!」」
見事にハモった。偽物とハモるとか、語彙力無さすぎなのかな俺。
ウエットに手を伸ばしたのも同時だった。ウエットは両方の手を取り、偽物の手を離し俺の手を引き寄せ抱き上げた。
「おかえりなさい、陛下」
「お、おぅ」
何か照れくさい。
偽物の方は呆然としている。
「何で!?」
「貴方には、忠誠心を感じなかったので」
にこりと笑う。悔しそうな偽物。
「⋯俺がルーナだ⋯」
ポツリとつぶやいた。
さーて。どうしたもんかなぁ。この国の王になりすましたのだ。このまま無罪放免と言う訳にもいかないだろうし。
漂う妖気からして、何かの妖だよなぁ。何か似てるやつと、さっき会ったな。コイツもキツネか?
「子ギツネ妖怪か?」
俺の問いかけに、ビクッと体を震わせる。何で分かったんだ、と言う表情。
「陛下、なぜそう思ったのですか」
「いや、さっきまで狐の妖怪と一緒にいてな。この街まで連れてきたんだけど。その気配に似てたからさ」
「狐の妖怪??またあなたは⋯」
はぁぁぁっ。と深い溜息をつく。
すまんな、厄介事ばかり持ってきて。
「まぁ何だ。俺は妖の王にもなったんで、放っては置けないんだよな」
「は!??妖の⋯王!?」
そんな真っ青になるなよ。ゴメンな。面倒事、増えるの確定だもんな。お前の仕事増やすよな。
「理解しました。そして陛下?この我が主の姿を、写した物をどう致しますか?狐の鍋とか美味しいかもしれませんよ?」
怒ってる!ウエットめっちゃ怒ってるじゃん!いつものウエットなら、こんな事は言わない。
読んで頂いて感謝!感想聞かせて貰えると嬉しみですっ
ご意見や、こんな話になったら面白いなってあったら、教えてください。