121 再開
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さて。椅子に座って2人を待つか。花に囲まれてのティータイム。女はこんなのが楽しいのか?
確かに綺麗ではあるけど。お菓子も美味いけどさぁ。うちにもあんのかな?シャルルとか喜びそう。
暫くすると、小道の先から2人の姿が見え始めた。俺がウエットの腕に抱きついてる。
⋯ムカつく。
しかし、そっくりに化けてるなぁ。聞こえてくる声も俺の物だ。ウエットが、無礼の無い程度に相手をしている。
茂みに隠れているラバーが、ワクワクしてるのが感じられる。他人事で楽しそうだな。今日は屋敷の掃除でもさせよう。
俺が座っている事に、2人がようやく気がついた。その途端に、こちらに走ってくるウエット。
「陛下!ご無事でしたか!?」
「あぁ。まぁ色々あったけど、元気だよ」
腕を振り払われた俺の姿をした者は、呆然としている。
「ウ、ウエットどうしたの?その、私にそっくりな人は誰?」
あ、まだ俺の演技続けるんだ。度胸だけはあるらしい。
「俺が本物のルーナだよ」
「私がルーナよ。この魔王国の王女様なんだから!」
「堂々とした偽物っぷりだな」
ため息が出る。こんなドヤ顔で、よく嘘つけるもんだな。ウェットが気がついてるかは謎だが、極々わずかな妖気が漏れ出ている。
「すみません陛下。おで迎えが出来ずに。この陛下の形をした物が居て、下手な動きも出来ずに手間取っていて⋯」
「気にすんな。俺の姿をしたヤツに、余計な事は出来んわな。俺じゃないと分かっただけで上出来だ」