12 いい奴かも
12
イスに座る姿もイケメンだなぁ。まだ17だってのに、青年と言う風貌だ。顔に幼さは残るが…。
「ルーナ嬢。確認しておきたいのですが」
「あ、はい」
「目覚める前、異世界では男だったと言うのは事実なんですよね?」
「あー…うん。17歳男子高校生でした」
「こーこーせー?17…同い年か…」
「やっぱり複雑だよな?見た目可愛くても、中身はガサツな男だし。今の恋愛対象は女の子だし」
フーーーッと、リスタが深いため息をついた。
「問題ない。政略結婚のようなものだ。そこに心は必要ない」
な、なんだよ。そんな淋しい事を言うなよ。金持ちや家柄の良い奴の家庭とか知らないけど、子供は道具じゃない。
「なぁ?何なら俺から断ろうか?女子しか無理ですって」
「…不要だ。ルーナ嬢は5人の婚約者の子供を産めばいい」
は?5人の?聞いてない!そんな話は聞いてないぞ!
考えただけで、体への負担も心への負担も大きい物だろう。リスタも俺を道具だと思っているって事か?
「俺は道具にはならない!お前も嫌だったら嫌って言えよ!」
ビックリした顔で、リスタがこっちを見る。そして、プハッと笑いだした。ひとしきり笑い終えると、先程より親しみのある顔で
「面白いな、お前」
と言った。イケメンがキメ顔で何か言ってるよ!お前の子を産みたい女子なんて、整理券何枚あっても足りないだろうが!
「これからの人生、楽しみが出来た。これから、よろしく」
「あ、あぁ。よろしくな」
こいつとは話し合いが出来そうだな。まともそうなイケメンで良かった。