113 変化
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陛下〜。お帰りなさ〜い。窓から身を乗り出して、魔王国の人々が身を乗り出して歓声をあげる。
人々の声に、上品に手を振るルーナ。片方の腕は、ウエットの腕に回して張り付いている。
「陛下?いつもの様に、お姿をお見せにならなくて良いのですか?」
「えー。馬車の中だよ?必要なくない?」
「そ、そうですか」
見た目は完璧にルーナなのに、感じるのは違和感ばかり。別人?いや、それとも異世界とやらで性格が変わる程の事件にでもあったのだろうか。
「陛下…異世界はどうでしたか?」
「んー。大変だったよー。色々とあったんだー」
色々…。陛下の性格を、体の性別に戻す程の何かがあったと言うのか?考えていると、城に到着していた。
「着きましたよ?陛下?」
いつもなら、一番に飛び出していくのだが…。
「扉を開けて、降りるのにエスコートしてくれる?」
にごりとルーナは微笑んだ。ここまで変わってしまうものなのか。向こうの陛下にとっては、喜ばしい事なのであろう。
だが…まだ受け入れきれない。馬車から降りてルーナの手を添えながら、ウエットは淋しさを覚えていた。
俺は昔の陛下の事が…好きだったんだ…な。
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