111 困惑
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「風よ…この呪いの個所に冷たき小さな風を送り込め!」
この世界では魔力の方が使いやすい。無理矢理に従わせるのは好みじゃないが、それも魔王としての自分の仕事。
そして妖の王という自分の立ち位置も、全うしなくてはならない。何でこうも問題にぶち当たるんだろ。
「ソラを嫁にして、失った命の力を取り戻すって言ってた。ソラは魔族と人間のハーフなんだ。それが何か狐の力に影響があるのかも」
「ハーフって、お前もハーフなのか?名前聞いてなかったな。俺はルーナ。お前は?」
「ソウって言う。俺は前の父さんとの子だから、人間だ」
「そうか…」
世の中色々とあるな。魔族とのハーフ。どちらにも属さない者。属せない者。
「両親は??」
「魔族とのハーフだって分かったら村から追い出されて…。魔物に殺された。その先で妖怪に会って、今までは大人に囚われてたんだ」
「辛かったな。魔王国に来い。そこでは平等だ。変なやつも少ないし、城には愉快なやつらが集まって楽しいぞ。まずは、ここから離れよう。狐と話さないと」
まずはそっちから片付けないとな。素直に呪いを解いてくれれば良いんだけど。狐って、変な知恵がついてて厄介そうだな。
俺がヒョイっとソラを担ぐと、ソウがギョッとした顔をする。
「重くない…のか?」
「へ?余裕余裕。俺は力が強いんだ」
「お前女だよな?魔族か?」
答えにくい質問だなぁ。そうだけど、今は違うと言うか何と言うか。
「とにかくあの丘に登って、狐と対面しよう」
「そんな都合良く来ないんじゃ」
「あぁ。それは大丈夫だと思う。任せとけって!」
ルーナに困惑しっぱなしのソウであった。
読んで頂いて感謝!感想聞かせて貰えると嬉しみですっ
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