109 一網打尽
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「んん…」
眠い。まだまだ寝ていたい。瞼が重くて開かない。ガタゴトガタゴトと周りは揺れているようだ。その揺れさえ気持ちよく思えた。
その時、女の子のすすり泣くような声が聞こえた。ようやく目を開け、辺りを見回す。今のルーナくらいの年齢の子供達が、紐で縛られて馬車の中で寄り添いあっていた。
聖女?何だこの状況。もしかして呼ばれたの、このせいか?それとも偶然か…。ヨッと起き上がって、「ノック!」両手足のロープがほどける。
近くにウェット等の気配がしない。やはりこの状況は、アクシデントって事か。とりあえず、このまま大人しくしていてアジトまで運んでもらおう。
アジトにも、救わなきゃいけない女の子が居るかもしれない。馬車は洞窟に入ると、ゆっくりと止まった。こちらが子供で動けないと思っているからか、中の方へと放置して行ってしまった。
洞窟の中には、3台の馬車。これ以上は入らなそうだし、これで全部だろう。待ってろよ。すぐに解放してやるからな。
他の2台にも子供が押し込まれていた。こちらは泣き疲れて眠ってしまっている。
さて。鬼退治に行きますか。サッと洞窟内に忍び込み、中の様子を伺う。男が5人に女が1人か。訳無いな。
試してみたい技もあったんだよな。気を集めて、その部分だけ強化する技。気のコントロールは出来るようになったから、拳でも剣とも渡り合えるはずだ。
拳銃が合っても避けるか、手に気を込めて弾を切ればいい。簡単なお仕事だ。
結果、相手は銃を持ってなかった。剣のみだった。自己流の剣さばきは隙だらけ。盗賊なんて、こんなもんか。さて。魔力で風を使って、ここに子供達がいるという噂を流してもらう。
警備の人間には確実に伝えたから、すぐに人は来るはずだ。俺は抜け出して、ウェット達と合流しないとな。
その時、荷台から苦しそうな女の子の声がした。何だ?病気か?結び目がキツいのか?俺の乗ってきた荷台から聞こえる。
「おい、どうした?大丈夫か?」
「ううっ。っつ!」
苦しそうだな。
「おい!そこの女!俺のロープも解いてくれ。その子は妹なんだ」
妹?なるほど?
「ノック!」
簡単にロープが解けて、ビックリしていたが妹の元へ駆け寄った。妹のロープも外してある。
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