108 もうすぐ誕生日だが?
108
学校生活にも慣れ、それもルーティンになった頃。今月俺の誕生日がある。こちらの世界でも、季節は無いが1年は同じ様な割り振りである。
カレンダーの様なタペストリーには、ルーナ11歳誕生日とキラキラにデコられて縫われている。
目が覚めてから数ヶ月。誕生日か。11歳、か。このまま、いつか昔の自分の年齢を、ここで追い越していくのだろう。
俺のスタートラインは、その時になってからかもしれない。俺はその時に、俺で居られているだろうか。男っぽい女子になっているのだろうか。
まぁ、どう転んでも人生だ。現世界の俺は死んだんだ。ここで俺らしく生きるしかない。ウエット達は元気にしてるだろうか。あちらの世界の事も心配だ。
と、その時…
『ルーナ陛下、聞こえますか』
「聖女?聞こえる。何かあったか?」
『1度、こちらにお戻りください』
誕生日まで数日あるし。いっか。
「お母様ー私、別の世界に出かけてきますー!」
母親の慌てた様な声が聞こえたが、まぁいいや。
「いいぞ、聖女」
『それでは、移動の儀を始めます』
久々の聖女の歌のような音色のような声が聞こえてくる。フワリと温かい空気に包まれ、意識が遠のく。眠い…温かい…。
穏やかに移動する気配がする。また皆に会えるのは嬉しい。誕生日までには、異世界に戻りたいな。
魔王国は平和だろうか。皆が笑顔だといいな。眠気が増した。気持ちよく眠りにつく。雲の上のお昼寝のように、穏やかで気持ちいい。ずっと寝ていたいな…
読んで頂いて感謝!感想聞かせて貰えると嬉しみですっ
ご意見や、こんな話になったら面白いなってあったら、教えてください。