103 母の願い
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余りに眠りすぎて、親に心配をかけてしまった。こうして異世界に居ると、魔王界に居たことが夢だったみたいに遠く感じるなぁ。
ウエット、元気にしてるかな。ラバーは、ちゃんと役に立っているだろうか。環境が悪かっただけで、根は良い奴だと思うんだよな。
こうして異世界から魔王界を思うのは、何か不思議な感じがする。
コンコンとドアが叩かれた。
「はーい。どうぞ」
「おはようルーナ」
「お母様。どうしたんですか?」
「あのね、話があって。そろそろこの世界にも慣れただろうし、ルーナは10歳で17歳よね?」
「は、はい」
「学校に通ってみては、どうかしら」
「は!?学校!??」
ゾワッとする。嫌な響きだ。そういやシャルル達が通ってたっけ。
「ほとんどの婚約者様方も通ってるし、どうかしら?」
嫌だ…。異世界まで来て学校とかっ。どうせ大大貴族の俺が行っても、空気悪くなるだけだと思うし?
「俺には必要ないです!!」
「嫌……なの?」
とてもとても悲しそうな顔をされる。だけど行きたくない。行く意味も分からない。人間関係以外、学ぶ事は無いと思うしな。
「ルーナ???」
お母様…そのウルウルとした瞳やめてください…。あーもうっ。
「学校…行きます」
パァーとお母様の顔が輝いた。
「もうね、制服とかは用意してあるのよ。この近くの学校は指定の制服は無くてね。各家庭で好きな物を制服に出来るのっ」
お母様…それ着せたかっただけですよね?はぁっ。もう為せば成るだ。
「これよ〜!」
ピンクのワンピース。服の袖には花の形をしたフリルがあしらわれていた。胸の真ん中には、ケーキの箱に結んであるような薄ピンクのリボンが付いていた。
「とても良いと思います。お母様」
「そうでしょー。シャルルくんと色々と話して決めたのよ〜」
シャルルの裏切り者!まぁあいつに服のデザインなんて聞いたら、食いつかない訳ないよなー…。
「帽子はこれよー」
制服と同じピンク生地の帽子が、ケーキのようにフリルやボタン等でデコレーションされていた。
どっかのテーマパークみたいだ…。制服が可愛く思えてきた。後でシャルルを弄ることに決めた。
「学校に行ってる婚約者は何人なんですか?」
「りスタくんとレミットくんとシャルルくんで3人よ」
うん。まぁマシなメンバーだ。
「明日から制服デビューよ、ルーナ!」
お母様のテンションは次の日の朝まで高いままだった…。
読んで頂いて感謝!感想聞かせて貰えると嬉しみですっ
ご意見や、こんな話になったら面白いなってあったら、教えてください。