101 帰還
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その後、聖女に呼ばれて神殿に向かった。お疲れ様とか言われんのかな。
「魔王陛下、お疲れ様でした」
予想当たった。聖女の次の言葉は予想外だった。
「国も落ち着きましたし、そろそろ陛下の世界に戻って頂こうかと思います」
「へ?帰れんの?」
「余り長く魔王不在なのは、力の不安定化になるので…またこちらに定期的に来て頂くようですが」
「あぁ!大丈夫だ。帰れるのかぁ。何か久しぶりだな」
「帰られてしまうのですね…」
ウエットが悲しげに言ってきて、またそれに心が揺れた。こいつ絶対女ったらしだ!
「それでは、またお呼びして会えるのを楽しみにしております」
「あ、今もう帰る感じ?」
「はい。魔王陛下もお忙しいでしょうし、こちらに来て貰う事も多いと思うので」
「そっか。聖女、ウエット、また会おうな!ラバーに後はたのむぞって伝えてくれ」
「御意。陛下…どうぞ、お元気で」
聖女が呪文を唱え始める。周りの風景が揺れて、見えなくなっていく。
気がつくと、そこは森の入口だった。少し見ていないだけなのに、懐かしい。
「ルーナ!??」
その時、聞き覚えのある大きな声がした。振り返ろうとすると、ギュッと抱きしめられる。
「どこに居た!?どんなに皆が心配したかっ」
リスタだった。クールな彼とは思えない程に、感情を爆発させている。心配かけたんだな。
「ごめん。家に帰ったら全て話すよ」
「あぁ。馬車に乗れ。家まで送ろう」
「サンキュー」
何か久々の空気感だ。あっちも居心地良かったけど、こっちの方が帰ってきた感がするよなー。
こちらでは精霊の力が強い。あちらでは人が精霊を操って使う感じだからなぁ。
そうは離れていない家に、あっという間に着いた。りスタは先に降りて、俺に手を差し出す。そんな女の子扱いしなくていいのに。律儀な奴だ。
そっと手を置いて馬車から降りる。久々の我が家だ。一気に走って扉を開ける。
「ただいまーーー!!」
「「ルーナ!??」」
母と父が大慌で降りてくる。泣き出した両親に揉みくちゃにされても、されるがままにさせておいた。
何日もやっと目覚めた娘が居なくなっていたのだ。当然の反応だろう。思う存分、愛でてもらった。
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