100 お披露目
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次の日、目覚めるとウエットはもう居なかった。色々と忙しい男だからなー。
その時、魔力の濃度が上がっている事に気づく。さすが聖女の言う事だ。ちゃんと効果あるんだなぁ。
魔王として役目を果たしたよな?そろそろ異世界に戻りたい。
その時ノックの音がした。
「はーい」
「婚約の儀が成立した事を民に披露するので、お支度終わったら玉座の間までお越しください」
「あー、うん。分かった」
着替えて玉座の間へ急ぐ。そこには大きな窓があって、大きなバルコニーがあった。
外からは陛下ー!とザワザワと沢山の人の声が聞こえてくる。
「ルーナ様」
「お、ウエット。いつもと違う格好だな」
舞踏会に出るような、カッコイイいでたちだ。
「婚約者ですからね。メイドに用意されました」
「なるほど」
ウエットも大変だな。
「ホラホラお二人さん。国民がお待ちかねだぜ」
ラバーがからかうように言って、手を押した。
窓が開くと、うぉぉぉー!!みたいな声が上がった。魔王陛下〜!ウエット様〜!と黄色い声も飛ぶ。
思ったより人が多くて、圧倒されてしまう。
「ルーナ様失礼します」
ウエットがしゃがむと、俺をヒョイッと抱え上げた。身長的に台とか無いと、外が見えなかったので助かったけど…
平静を装っていたが、急に腕の中へ抱き上げられて心臓がドキドキした。いきなり密着したせいだ。仕方ない!
「ほらルーナ様、国民に微笑んで手を振ってあげて下さい」
「あ、あぁ」
手を振ると更に盛り上がり、婚約おめでとうございます!と祝いの言葉で溢れかえった。こんなに祝われる物なのか。
あっちでは目覚めたら既に5人居たしな。ウエットが1番大人で男らしいかな。…魔族だけど。
お幸せにー!もう結婚でもしたみたいだ。ウエットも爽やかな笑顔で手を振っている。やっぱりカッコイイな。目が合うと、優しげに微笑んだ。
ドキッとする。何だよ俺は男だぞ。男より可愛い女の子が好きなんだ。誤魔化すように、国民に手を振ったのだった。
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