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占い


占いは、信じていなかった。

友達の中では高めの身長。

お兄さんになったような気分で馬鹿みたいに浮かれていたが、一歩外に出ると皆、僕より遥かに高く、それを知る度、自らの稚拙さを痛感して毎日悶えていた。


「貴方は…最近宝くじを買われたんですか?それ…6桁当たりますよ」

「あ!か、買いました…!本当に当たるんですか!?」

「番号の下二桁は…59?」

「え?……わ!そうですそうです!やっぱり凄いね!私市さんの占い!」

「いえいえ、いつも来てくださるお二人のおかげですよ、いつもありがとうね」


胡散臭いやつ。

そう思った。


薄いブルーの髪、黄色い目。真っ赤な唇。

真っ白なタートルネックに…どこか、少女のような横顔。


「……そこの少年、おいで」

「え、あっ」





「君は……ふむ」

気付いたら「私市」と呼ばれた人に手を引かれ占われていた。


信頼できない。

人が沢山こっちを見ている事に怯えながら、眉間に皺を寄せている私市さんをチラチラと見つめる。


「…君の未来は、孤独だ」

……チクリ。

胸が、痛む音がした。

「このまま生きていると君は誰にも愛されない」

……ずしり。

プレッシャーのような物が、背中に覆い被さるような感覚がした。


心当たりがあるからだ。

自分自身の境遇や考えについて見透かされたような、そんな気がしてゾクリとした。


でもこういうのは誰にでも当てはまるような…事を。

なんて思おうとしても「孤独」「愛されない」というワードに心当たりがある僕は…僕は…………


……怖い。






「…私のこの言葉を聞いて、胸が痛み…怖くなるのは健康な証拠」

「……え?」

「君は幸せになれるよ、私が保証する」


……分からなかった。

言葉の意味が。


占いは、信じていなかったはずだった。


「あの」


「続きを深く見ようか…何を見て欲しい?仕事?いや…君の年齢なら学業かな?それとも恋愛?友情関係?君なら無償で見てあげるよ」


「……僕は、運命の人に会えますか」


スピリチュアルなものを、信じないつもりだった。


占い師さんはこう言った。


「恋を教えてくれる人?人生を変えてくれる人?別れを教えてくれる人?どの運命がいい?」


「…全部、教えて欲しいです」


「……じゃあ、ここで、見ていてね」



その時、男性二人組が僕らの後ろへ来た。


「僕の友達、見てくれない?」

「分かりました」

「え、あっ…僕の占いは……」

「君はそこでみてて」


……?


「…貴方の恋人が見えます、その貴方の恋人が…30秒後に…自室で怪我を負う」

……そんなに細かいところまで分かるのか…。


感心しながら占われた男の人を見てみると…彼は目を見開き、今にも泣きそうな瞳をしていた。

「…?」

恋人さんが心配なのかな…。


なんて考えていると、占われた人の隣に居た男の人がその人の肩を抱き、クスクスと笑いながら信じられない言葉を口にした。


この人……


「あのね占い師さん…この人、独り身なんだ」


……え?


「この人今独り暮らしで恋人居ない歴=年齢の寂しい奴なの」


…………はず…した……?

でも…じゃあ…この人の泣きそうな目は…寂しいから?


ざわざわと、ギャラリーが集まっている

「エセ?」「外した?」「あの私市が?」

そんな声が聞こえた。


「私の占いが信じられないなら他所に行って占って貰えば良いだろ!!!」


私市さんは、顔を伏せながら怒鳴った。

静まり返る周囲。


「びた一文も貰ってねえのに私が真剣に見る訳無えだろうが!!外したとかエセだとか好き勝手言うのは大概にしろ!!私は見世物になるつもりは一ミリたりともないからな!!!!」


「……私市さ」


「何が「臨時収入」だ!何が「恋愛」だ!何が「自分の幸運」だ!!こん中に災害だとか事件だとかを知って予防しようと思うような奴は一人も居ねえのか!!」


「……」


「私はお前ら低能とは違うんだよ」


「……」


かっ




かっこいい……!!!!






「き、きさっ…!きさいちさん!!」

「君は…さっきの少年?」

「あの、さっきは自分勝手なこと占ってって言ってごめんなさい!」

「あはは…いいんですよ、あれは本心じゃありませんから!私は恋愛だとか将来だとかを見るくらいがちょうど良いんですよ!」


気付いたら僕は立ち去る私市さんを追いかけていた。

あの人に会いたい。あの人の側に居たい。

その一心で追いかけた。


「で、何か?」

「あの、あの…う、占いってどうやってやるんですか…!?」

「占い?」

「あ…」

「あ?」

「アシスタントにしてください!!」

「無理」










「…あの少年、突き返して良かったの」

「貴方は……さっきの…どちらですか?」

「……え?」

「本人か…恋人か」

「あ……ほ…本人です、貴方は…僕の恋人について占ってくれた」

「…それが何か?」

「誰にも、言えない事を恥じていました」

「恥じなくてもいいですよ」

「……」

「ただあの友達とは縁を切った方がいい」

「……」

「……」

「……僕は、恋人のために…」

「……私が何を言っても…貴方には響かないんでしょうね」

「……」

「……………あ」

「…?」

「…未来が、見えました」

「……どんな、未来ですか」

「別料金」

「じゃあ……これから、ずっと、僕の側で…僕の彼氏の未来を占ってください」

「……高くつきますよ」

「ええ、金ならあります」

「…こんな大金を私に?お兄さん何してる人?」

「……札束を平然と受け取る貴方に言われたくない」

「それもそうか…貴方の、相棒にでもなりましょうか、私」

「…それも面白そう」

「そうでしょ」

「……さっき、何が見えたんですか」

「私の同類が…貴方に傷付けられる未来」

「…………」

「…面白い、貴方の行く末を見守りますよ」

「…金ならいくらでも出す、だから……どうか、僕の恋人には手を出すな」

「はいはい、ちなみにお名前は?」

「烏丸義文、からすま、よしあやです」

「いい名前ですね」


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