22話
起きれば兵舎の中にいた。どうやら、コーリン将軍に倒されたらしい。手や腕、体を触ってみるが、痛みは感じない。手加減されたようだ。…、イーリンやオルタが疲れているのはおそらく俺の後にコーリン将軍から手ほどきを受けたのだろう。彼らには申し訳なく思う。体に鞭打つくらい疲れているとは。
水で濡らしたタオルで体を拭きながら少し土がついているのが分かった。寝ている間にトイレでも行ったのだろうか。今までにそのような経験はないけど。軽い記憶喪失になっているのかも。ボクサーとかでも記憶喪失になることもあるらしいし。頭に衝撃を受けた感じはしないけどそうなのかもしれない。
水を汲みながらタオルを絞る。体を拭きながらぼーっと前を見ていた。コーリン将軍が隣に来て体の調子を聞く。少しぼーっとすると話すとコーリン将軍は少し考えて、そのまま去っていった。どうしたのだろうか。…、周りの兵士を見ていたが、少し動きが悪くなっているように見える。疲れが見えるのか。どうしたのだろうか。こんなことは初めてである。
昼頃になって、コーリン将軍が訓練を切り上げると言った。みんなの体調が悪いことが原因だろうが、コーリン将軍が何も言わないのは少し妙である。まあ、いいか。体も本調子でないため、しっかりと休ませてもらおう。
さてと、家に帰ってもあまりやることはないのだ。娯楽は高価だからな。どちらにしても井戸から水を汲んでおこう。そして、トイレに水を置いておきたい。ウォシュレットに慣れているので少しおしりが痛い。痔になってしまうかも。少し触れてみたが大丈夫。しかし、事前に注意しておく。痔になってからでは遅いしね。
台所にも水が欲しい。食べ物と食器を洗うために。そして、もう一つ、顔や体を洗うようにもう一つ欲しいな。風呂は部屋にないため床で体を拭くことになるから。水を溜める樽はあるから、受けるようなものだな。タオルは…、外に干したいな。とりあえず、買い物に出かけるか。
…、あの子は以前見た女の子だな。ここら辺に住んでいるのか。挨拶してくれるとは律儀だ。そういえばここらへんで挨拶してくれたのは彼女くらい。挨拶の習慣がないのかな。
買い物して帰ってくると思ったよりも時間が経っていた。水を汲みに外へ出ようとしたら以前の女が立っている。首に剣を当てられた女である。彼女は少し足元を見ていた。…、以前の怪我か。ねん挫だったし、すぐに回復した。どうやら、何か用事があるようだ。深刻そうな顔をしていないため、普通の会話なのだろうか。
しかし、彼女は俺の部屋に入ると真剣な表情になった。
彼女は試合をしてほしいと頭を下げた。




