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20話~レイ~

 ワカトシは規則正しい生活をしている。そういった習慣が身についているのだろう。槍の素振りも随分とよくなっている。槍を振っていても流れが止まることはなかった。ひと段落ついたワカトシは樽を持って井戸の方へ向かった。ワカトシが井戸から水を汲んでいる間に女の子が後ろに来た。ワカトシが持ってきた樽は少し大きなものだ。力があっても井戸から汲む量は決まっているため大きいほど時間がかかる。


 彼女は別にワカトシの方を見ているわけでもないようだ。たまたまと言うことはないだろうけど、私が思っていたほど好きという感情がなかったのかもしれない。単純にお隣さんの感覚である。…少し私も鈍ったのかな。


 体を拭いた後にケヴィンさんが来ていた。…そうか。ワカトシが持っていた荷物を渡すためか。軍に所属しているワカトシはもう一度審査を受けて何もないということになった。何もないというのは情報が何もないということである。普通の兵士だと問題ないの意味だ。彼自身に問題がないため彼が持っていた荷物を返還する必要があった。荷物に損傷があってはいけないため、慎重に調べていたが、分からない荷物が多かったそうである。


 何に使うかさえも分からないような荷物を持っているワカトシをケヴィンさんはずっと怪しいと思っていたが、行動にも何も変化がないし、兵士としても申し分ない実力を発揮している。ケヴィンさんがコーリン将軍からおしかりを受けて荷物を返却ということになった。ワカトシもここでの生活が長くなってきたのですぐに使わない。ワカトシは荷物の中身のみを見て家に帰った。もちろん、私はケヴィンさんから監視しろと指示を受けた。


 ワカトシを窓から見ていると何やら腕輪をはめている。何かを触っているようだが、少し落胆していた。小さな箱を取り出して側面を触っているが、変化はない。その後、何やら反射するような箱を窓に置いた。陽の光を見ているから、その物に太陽を当てるのだろう。腕輪も同じように。


 ふとワカトシが周りを見た。…私は咄嗟に茂みに隠れる。ワカトシも感覚が鋭くなってきたのかな。おそらく視線を感じたのだろう。…監視がやりにくくなったな。しょうがないか。ワカトシはその後、買い物に出かけたようだ。あらかじめ、窓の鍵をもらっているため家の中に入る。


 …、何か変わったことはないようだ。腕輪を見てみると僅かに何かが動いているような…。これはいったい何なのだろうか。まだ時間はある。明日、もう一度見てみよう。


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