16話~コーリン~
2日ほど経ってようやく罠の解除ができるようになり始めたの。本当はここからもう少し教えたいのじゃがの、あまり待たせてはケヴィンに怒られるからの。国内の情勢が不安定ないのは仕方のないことじゃ。内乱中でもあるしの。今の状況ではわずかに儂らが不利。ケヴィンの件でもわかることじゃが、アミールは国外ともつながっておる。サエルガマズの国境にはケヴィンがいるが、内乱に介入するのは困難じゃろう。
サエルガマズの国境には2万ほど置いておく必要があるのじゃから、自由にできるのは2万人程度。これでは首都を落とすにはちと足りぬ。足りないということは内乱が長く続くこと意味するのじゃが…。残念ながら軍の伝手はすでに限界まで使っておる。あとは別のところから離反者を出すのがいいのじゃが、果たしてそんな人物がいるのかの。
皆はちゃんと考えながら罠を解除しておるな。感心じゃが、経験が少ないのか解除に時間がかかっておる。もう少し早くすべきじゃろうが、今は何も言わずに見守るべきじゃろう。しかし、イーリンも真面目すぎるの。確かに兵士たちに怪我をさせるのは良くない。今後の遺恨が生まれてしまうから。ただ、まったく攻撃されないとなれば兵士たちに疑問が湧いてしまう。時には演技もしてもらう必要があるのじゃ。
罠に関してももう少し捻ってほしかったの。現実では簡単な罠が多いのじゃが、今回は違うのじゃ。どんな罠でもいいから作ってほしい。まあ、会話すらしておらんし、文通だけではここまでで十分かの。
トンネルの前にはイーリンと部下の99人が整列しておる。悪いわけではないのじゃが、流石に整列はやりすぎだろうの。これでは完全にばれたしの。別に最終的にはばれるのじゃが、こういった形は望んでいなかった。しかし、もう行くしかないの。儂は手を挙げてイーリンに近づいて行った。




