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16話

コーリン将軍の指示で今回より見張りを多くした。今までは2人だったが、倍の4人に。解除は1人もしくは2人で行う。3人ほどいればすぐに全滅しない。ただ、奇襲を受け場合には全滅する人数だ。今回のような盗賊任務では兵数が少ないことも多い。出来るだけ多くのことをできるようになるのも今回の任務の主旨らしい。


 罠を解除している間、兵士たちが話をしていたのは盗賊団の話だ。盗賊団ができたのは俺がここに来る前の話。活動自体は1年ほどになる。どうして、兵士たちが知っているかと言えば、村の住人が多く知っているからである。盗賊団は貴族だけを狙っているのだが、その貴族は悪人が多いという。どうしても貴族と言うこともあって、政治的な観点から裁かれることない貴族も多いという。その貴族を狙って盗賊をしているから有名になった。そのせいか、住人たちは盗賊たちを好意的に見ている。だから、金銭で食料を分けているらしい。


 政府としてそのような盗賊団を倒すには勇気がいる。討った方が逆賊となるのだから。しかし、悪いことは悪いことなので住民にはなんとか説得する。住人にとっては日常の中の一部らしい。ああ、そういった人たちがいるなという程度。盗賊がお金で食料を買っていくが、取引相手と同じということだ。


 芸能人と同じ感覚かと思う。そうかもな。別に日常生活は普通に行うので、命に関わるような情報以外は忘れてしまう。住民は別のことで頭が一杯だ。だから、住民は関係ないように過ごしている。…少し寂しいような気もする。


 2日後、全員で山登りを開始していた。コーリン将軍はあらゆるところに気を配りながら進んでいる。罠があった場合には5人ずつで即座に対処する。正直、見破るのは難しいため、コーリン将軍の罠の有無を聞いて処理をしている。罠を処理している間の見張りは緊張を強いる。不意を打たれれば全滅するだろう。ただ、今回の罠に関しては死ぬような罠は少ない。あくまでも敵を撤退させるように想定しているからである。死ぬことが少ないからこそ、簡単で効果的な罠が多く数も多い。


 軍で行動するときに頭をよぎるのが負傷者である。重傷な者以外をどうするかということ。重症者はほとんどの場合が助からない。設備もない上に衛生状況も悪い。重症者はほぼ死ぬ運命にある。ただ、軽傷や中傷の場合には生き残る可能性が出てくる。そして、軍で生活していた兵士たちには互いに情があるため、助けに行くことが多い。その負傷兵が足を引っ張っていくことになる。こういった面からも罠は有効である。


 大きなトンネルまで行くとそこには多くの人間が立っている。あれは盗賊団の人たちだろうが、簡単に姿を現している。何かあるのか。コーリン将軍も何も言っていない。他の兵士たちもあっけに取られている。コーリン将軍は軽く手を挙げた。…、知っているのか。もしかして盗賊団は兵士だったのか。コーリン将軍はそこの大将と話をしているようである。一応討伐として来ている俺たちは少し居場所が狭かった。物理的に狭かったわけではない。気持ちをどこにぶつければいいのかわからなかったのだ。


 それなりに緊張してここまできたのだけど。


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