11話~コーリン~
ケヴィンが提案した開墾の状況を見に来てみたが、思ったよりも進んでおり、兵士もやっておる。農家から話を聞いて兵士たちはうまくやっているようじゃの。開墾は根気がいる。硬い土を柔らかくすることから始まり、そのあとは肥料をまき続けて開墾を行うということじゃ。3年以上かかる作業ではあるが、少しでも短くするため軍主導で。最初の数年が難しいがある程度、軍で開墾を行えばかなりの速さで開墾は進む。兵士たちも誰かの役に立っていると思うからやる気が出るしの。さてと、同じ動きで飽きている者ども叩きに行くか。
ケヴィンからの書簡で2週間後に論功行賞が行われるということじゃ。確かに頃合いではあるの。軍での開墾は長くて2週間と考えておった。別の案件も先ほど入ってくることもあるが、兵士は基本的にちまちました作業が苦手な者が多い。仕方のないことでもあるがの。ワカトシはそこまで苦も無く行っているようじゃの。時折、土をいじったりしているから案外知っているのかもしれんな。ただ、どうしてそのようなことを知っているのかという疑問は残るの。
まあ、別に良いかの。出自。それこそ意味がないことじゃ。どのような賢人もそこらかしこで生まれてくる。自分自身が孤児である以上はその意味が良くわかる。ワカトシは孤児ではない。あそこまでの教養を受けているのであれば孤児の頭ではない。もし、孤児であるならばかなりの豊かな国である。そして、そのような国は近くにない。
隠しているわけでもないのじゃろうが、変なところで頑固に見えるからの。少しずつ話を聞いていく必要があるの。すぐでもないのじゃから、気長に待とう。問題は別になるかの。秘密裏に話をするとなれば多くの兵士を連れていくわけにもいくまい。相手に変な誤解を与えるのもよくないしの。さてと、資料を眺めるか。
1時間後、コーリンは副官に頭を叩かれ目覚めることになる。コーリンも書類仕事が苦手であった。




