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【旧】無口な異世界転移者が大将軍に成り上がるまで  作者: かかと
サエルガマズ滅亡編
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外伝ジャック・ロイの戦い~コーリン~⑦

 こちらを見ておるようには思えんの。儂が進軍を始めてもどこか混乱しているようにしか見えないのじゃから。しかし、この山ではよく罠を巡らせておる。その罠にかからないようにするのも一苦労じゃろう。その苦労をするほどには罠が凝っておる。ただの、15万の軍勢ともなれば自分たちがいる場所も確保しなくてはならんため、多くの罠を張ることもできなくなっておる。そこが失敗じゃ。儂であれば15万の軍勢を全て配置せず、徐々に補給する。そうすれば簡単には落ちんからの。


 儂が相手ということで多少なりとも警戒しておるのかもしれんの。儂のような人間を警戒するとはの。別に儂は凝った戦術を使うような感じではないが、警戒してくるのに越したことはない。他の戦場に援軍を派遣することも考えておるからの。ふむ、左のフォンが激しく戦っておる。少しでもフォンの戦力を落とそうとしておるのか。そう簡単にフォンがやられるわけもないが、倍以上の戦力と戦っておるのじゃから何かあってもおかしくはないじゃろう。まあ、少し様子を見てじゃな。


 問題は思ったよりも時間がかかっておる。部分的には兵の強さで勝っておるらしいが、どうも全体的には押し込むことができておらん。負けているところもある。思ったよりも難しい相手かもしれん。少し山の周囲の情報を探る。本陣がどこにおるのか分からんが、別の方法を取る必要もあるかもしれんの。出来れば使いたくない手じゃが、やらざるを得んかもしれん。


 敵の将兵はメッシュというのか。…、あのジャック・ロイと遠縁にあたるとは。本人は知っておらんようじゃが。しかし、ジャック・ロイとは全く違う戦いの仕方じゃな。ジャック・ロイは勘だけで動くような男じゃった。だからこそ、何を考えているのか読みづらく、そしてその兵士がえらく強かった。1人の男の号令で全力を出し、死を厭わないように戦う兵士程怖いものはなかった。初めて死ぬかもしれんと、フォンと一緒に思ったくらいじゃからの。


 メッシュという男は戦略に関してはそれなりに知識があるものの、普通の将兵らしい。…、そのような将兵がこのような大軍をどうして率いることができているのかはなはだ疑問じゃの。派手さはないものの各所で苦戦を強いられているというのは何かなければ儂の部下が吹き飛ばすはずじゃ。


 伝令兵かの。前線の情報を…。……。これは少し攻め方を変える必要があるの。一旦、全軍を下げ、左翼へ多くの兵士、そして2万の軍を中間地点に置くように。これでフォンが少し楽になるはずじゃ。ハーグの方は動きがない。ハーグも短気な部分があるからの。変なことを考えなければよいが。


 部下が一礼をして下がってくる。別によいのにの。誰が悪いわけではないのじゃ。戦争そのものが良くないのじゃから。少し歩きながら血が染みている大地を見る。多くの血が流れたの。いつまでこんなことをしておるのやら。今の陛下がどう思っておるのか分からんが、それでも何かをしようとしていることは分かる。あのフォンでさえ従っておるのじゃから、しっかりとしたことを考えておられるのじゃろう。ここを抜けるのには少し時間がかかりそうじゃ。中央が気になるが、ケヴィンに任せるしかあるまい。ワカトシのことも心配じゃ。あやつは自分の命を軽視しておる。今ではそれなりの軍を任せる話も出ているのに頭が痛い。


 各国にも儂の弟子として知られておるから、狙われることも多くなってくる。何とかしそうではあるがの。部下を労いながら徐々に情報が集まってくる。左翼には動きがないようじゃの。我らを警戒してくれておる。左翼に襲い掛かれば全軍でその軍を潰すがの。野戦で。フォンの方は相変わらずじゃな。ただ、敵の中央が攻めこめられなくなっておるか。よし、では、こことこことここの3つの地点を洗いだしてみろ。部下は分かった顔をしておるな。久々かもしれんの。この戦い方は。


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