表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/301

9話~コーリン②~

 森の中から大きな声が聞こえ始めたの。森の中で戦いでは陣形という概念が少ない。全体像を把握できておらんから、布陣という考え方はないのじゃ。ただ、森の中を抜けた後に後ろを取られれば窮地に追いやられる。それを防ぐため、扇状型の布陣にて森の側面を固めておる。


 幾重にもなっているため、すぐに抜けられることはないの。難しいのは森の中での戦闘の状況が見えにくいことじゃ。援軍を送ろうにも判断がしにくいの。ここに関しては情報を信じるしかないのじゃ。


 第一陣が衝突して半刻ぐらいが過ぎておるが、変化は見られん。ただ、先程の兵士からの情報で本陣が見えていないというのが気になるのじゃ。本来、ガーマスは守備にも定評がある。今回は防衛線ではないと言っても本陣がなければ儂どもを壊滅させるまでに至らないだろうと思う。狙っているのは殿下であるにしても、大胆な展開じゃ。


 森の中でわずかに揺らぎを感じる。いくつかの隊が壊滅したかの。どうしてもすぐに援軍を送ることができないため、布陣上不利になるような隊はどうしても出てくる。こちらの兵数は敵軍の半分程度。各所の隊が頑張らなければ勝機は見えてこないのじゃ。問題なのはガーマスの率いる隊じゃ。本隊ということもあって、他の兵士たちは気色が違う。勝つためには手段を択ばない人間が多くいるのじゃ。早めに潰しておかねば何をするかわからん。


 翌日、朝から多くの音が聞こえる。後ろからはわずかに何か別の音が聞こえるの。…ケヴィンのほうか。嫌な気配じゃ。すぐにでも援軍に行ってやりたいがの…。森の中の戦いは停滞しておる。全体像が把握できないためどうしても兵士たちも進んでいかん。確認してからの進軍のために時間がかかっておる。ガーマスもいまだに見つかっておらんし。


 陽が真上に上ったの。情報ではガーマスがいるという情報が少しずつ入っておる。まさかとは思うが、一般の兵士の姿をして進軍しているということが頭をよぎったがの…。正気ではないの。一般の兵士となっていれば仲間に見捨てられる可能性も出てくる。…不気味な奴じゃ。


 再度、情報を精査しようかの。森の中でも三角形になっている拠点がある。少し高い頂上の山じゃ。そこを全て押さえれば全体が把握できるため、この戦いを優勢に保つことができる。儂らの軍はその3点に向けて侵攻しておるが、ガーマスにはその気配がない。…一体何を狙っておるのじゃ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ