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外伝~ギュンター帝国への護衛任務③ ファウスト~

 やっぱり、コーリン将軍に怒られた。だから、言いたくなかった。私は悪くない。本国が悪いのだ。言い訳でしかないけど。


 さてと、問題は山賊だな。コーリン将軍は対応するだろうが、あの山の麓に山賊の拠点は作らないだろう。そもそも水脈がないために水の確保ができない。水は必需品だから拠点の近くにない場所は選ばないだろうな。そうなればあの山賊は山賊の恰好をしている軍の兵士ということになる。私でもこんな変なことをしないから、ヴィンセント国の上が変なことを言ったのだろうな。ギュンター帝国もおかしいと思うが、ヴィンセント国もそれなりにおかしい。


 コーリン将軍はすでに手を打ったらしい。千人程度か。流石にコーリン将軍が行くのは不味いだろうからそれなりの武力を持った兵士を送ったということか。ワカトシも出ていったのを確認しているからな。しかし、変わった山賊の形だな。あそこまでになると山賊ではないと分かってしまうから良くない。もう少しうまくやる必要がある。


 …、しかし、鬱陶しいな。ここまで露骨に姿を見せられては進軍がその都度止まる。いかに少数だろうと護衛がいる限りは止まる必要がある。ゲルラリア国にも華を持たせなければいけないし。私としてはギュンター帝国に早く戻ってゆっくりとしたいのだけど、そうもいかない。護衛を置いていったということになれば上司にすごく怒られるし。本当に縦割りなので怒られるときは非常に怖い。業務に支障が出るほどだから。


 千人の兵士たちはどうも後手に回っているようだ。山賊たちの移動速度が速いのか。山の中での速度は落ちるはずだが、私たちの先回りをしているということは進軍速度よりも速いということなのだが、何かが引っかかっている。ゲルラリア国も千人に任せて動くような気配はない。仕掛けがあるはずだ。しかし、あの木の揺れから考えれば5百人ほどの山賊がいる。山賊の構成としては大人数。


 コーリン将軍の話では2百人程度という話だったが違ったのか。私たちの斥候も同じ報告だったから間違えてはいない。…、千人将が動いたか。少しの間、沈黙していたから何か掴んだのか。まあ、任せておけば大丈夫か。山賊に手間取るほどの甘い練兵はしていない。はじめはどの兵士も血反吐を吐くほどに練兵している。


 ん、本国からの指令が…。嫌な予感しかしないのだが。


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