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外伝~ギュンター帝国への護衛任務①~

 時間を少し遡り、ファウストの護衛としてコーリン将軍やイーリンとともに出発する。ギュンター帝国へ行くのはコーリン将軍も初めてらしく、若干緊張していると本人が言っている。護衛任務といってもファウストも軍で動いているため、戦闘になることは少ないだろう。しかし、何かあった場合には我々が動く。ギュンター帝国は護衛されている側なので動いては困るということだ。


 ただ、他国もギュンター帝国を刺激するのは避けたいため、何かすることはないはず。事前に国をまたぐ場合には通達を出すことにもなっているため、万が一にも戦闘になることはない。それこそ夜盗や山賊などの賊が出ない限りは。ちなみに賊が出た場合にはファウストを止めることになっている。賊に紛れてギュンター帝国を討とうとする輩がいるかもしれないからだ。以前に別の国で同様の出来事があったらしい。その時には50回ほど襲われたらしい。その国の首謀者は処刑された。敵対国であったとしてもそこまで行けば国として責任が問われるというものだ。


 コーリン将軍はそこまで深く考えていない。襲われたら倒せばいいと思っている。実は俺もその考え方で賛成だ。考える必要のないことまで考えても無駄だ。ただ、倒せばいいだけ。敵に作為的なものを感じた時に考えればいい。戦場は政治と無縁である。…、ファウスト将軍が俺を呼んでいるらしい。コーリン将軍ではなく、俺なのか。


 …ファウスト将軍は難しい顔をして書類を読んでいる。忙しそうだが、本当に呼ばれたのだろうか。ファウスト将軍が俺の存在に気が付いた。彼は少し考えながら話を始めた。


 話が長いけど、要点をまとめればギュンター帝国に来ないかというお誘いだった。ファウスト将軍は渋い顔をしているので、本国より命令があったということだろう。同盟国でもない上に他国に攻め入った側が、それもコーリン将軍の弟子を勧誘するのはどうかしている。ただ、それだけ能力を評価されているというのは純粋に嬉しい。後ろに立っているコーリン将軍の圧が強いが、それはどうにかしてほしいものだ。


 ギュンター帝国へは行かないということで決着する。そもそもギュンター帝国がどのような国かもよく知らないし、ファウスト将軍に忠誠を誓っているわけではないからね。イーリンも複雑な顔をしているが、別に何かあるわけでもないし。


 そんなことがあったが、ようやく国境近くまで来ている。遠くには何やら軍隊が見える。コーリン将軍の指示のもと、完全装備で向かうことになった。変なことにならないといいけど。


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