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70話~皇太子~

 まさかアミールが自殺するとは思っていなかった。父の若い頃より仕えてくれているアミールは20年以上の付き合いとなる。性格に関して言えばあまり相性が良くなかったものの、アミールは良く仕事ができた。皇太子としての業務もあるため、多くのことを彼から学んでいた。彼の教え方はそのまま教えるのではなく背景をしっかりと抑えた上で知識を定着させるものだった。


 僕は頭が良いではなかったのでなかなか覚えることができなかったけど、アミールの熱心さは伝わってきた。ハーグとは別の熱心さであるけど、アミールには忠誠心はかけらもなかった。国に対しての忠誠心であり、父や私に対するものではない。そのことに関してはどうでもよかった。働く理由は人それぞれであるため、悪いことをしていない以上は咎めることをしない。ただ、性格が悪いのでねちっこいし、人の間違いを許すことができない性格だった。


 自分自身にも厳しく、私生活でも浮ついた噂もなかった。結婚もしていなかったはず。宰相まで上り詰めた人が世継ぎも作らないとはね。しょうがないか。子供は授かりものだから。父の執務室に入ったが、全てそのままになっている。それこそ、血を吐いたので綺麗にしているが、それ以外の物はそのままになっている。さてと、多くの書類が運びこまれる。反乱軍になってしまっていたので全く進んでいなかった仕事が…、いつまで運び込まれるのだろうか。どう考えても押印だけの書類は省いてほしい。


 ハーグは大切なものですと言っているけど、嘘だよね。どう考えても重要なじゃない書類が混じっているよ。兵士の不倫に対する罪状は王の案件ではありません。陛下はされていてもやらないよ。面倒くさいし。いや、僕を面倒くさいように見るのはおかしいからね。…はあ、意識改革からだけど父みたいになんでもできるわけじゃないから、どんどん任せていこう。今は印鑑を押すのみ。


 え、この印鑑じゃなかった?


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