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67話

 精鋭兵と言ってももうすでに百人を割っている。今の状況では数万の数に埋もれるわずかなものであるが、その数少ない兵士が活躍することで息を吹き返すことがある。自分がその1人だったからだろうか。あの精鋭兵を倒せばアミール宰相の軍はつぶれる。…、コーリン将軍。


 イーリンは後ろで俺を止めているが、今は目の前の状況をよく見ることだ。あの兵士たちを倒せばすぐに瓦解することが分かって見逃すというのはあり得ない話だ。戦争を終わらせるのが先決なのだから。コーリン将軍はなぜか俺に握手を求めてきた。一体なんだろうか。そして、肩を叩いた。


 突撃を敢行するのはコーリン将軍と俺などの武力に自信がある兵士たち5百名。必殺の部隊として送り込まれる。3日間続いている戦いもすでにアミール宰相の負けであるのにも関わらず、まだまだ終わる気配がなかった。そのよりどころの兵士たちを完膚なきまで倒し、士気を低下させる。分かり切っていることだ。敵だってもう分かっている。


 殿下が先ほど到着し、ハーグさんの軍勢が大きく士気を上げていた。問題のコーリン将軍はハーグさんから説得を受けている。今出る必要はないということだろう。確かにこの反乱に関わって兵士たちも無事とは言いにくい。幾人かは戦犯として処断される可能性もありうる。それならば、戦場で散った方がいいということだろうか。


 しかし、その通りではない。そもそも軍はその大将によってできているわけではない。下の兵士から上まで全部が軍なのだ。散ればいいなんてありえない。どれだけの兵士が死ぬことになるのか考えなければならないのだから。殿下にとっても今後の統治を考えればよくないはずだ。…、槍が重く感じる。やはり完全には回復していない。抜糸もまだ終わっていないから仕方ないことだ。でも、ここで無理をしなければいつ無理をするのだ。


 コーリン将軍や周りの兵士も俺の方を見ていた。そうか。俺が一番重傷だったけ。…、今は痛みを感じていない。大丈夫だ。馬も安定している。今回ずっと乗ってきて彼は非常に信頼できる。脚も鋭い。良く駆けてくれるだろう。コーリン将軍の号令でみんなとともに駆けていく。


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