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64話~アミール~

 コーリン将軍とハーグか。正直、ハーグに関しては年が近いということもあったため、よく比べられた。ハーグの方が人徳は上である。知識と外交については私の方が若干上である。戦に関しては戦ってみたことがないので分からない。しかし、コーリン将軍がいるとなれば話は別である。コーリン将軍のような武力の化け物と戦えるわけがない。そのために兵士を精強にしてきた。百名からなる一撃必殺の部隊でようやく手傷を負わせることができた。そのほかにも弟子のワカトシも重傷で動けない。


 これで武力が半減した。勝つにはこのような駆け引きが重要だということは分かっている。念のためフォン将軍への対応を考える必要がある。フォン将軍は陛下に仕えており、忠誠心が高いため、首都を攻撃することはないだろう。首都の方もちゃんと守備を固めているし、近衛兵にも私に情報をくれる兵士もいる。だが、万が一ということがある。フォン将軍の考えを読もうと思っているわけではないが、何を元にしているのか分からないところがある。


 開戦し、兵士たちは奮闘している。どうしてもフォン将軍への備えが必要となっているため、5千人の兵士たちは予備兵として後ろに待機している。フォン将軍の采配によってかなりぶれている。しかし、コーリン将軍とハーグの直下の兵士たちは強いため、そう簡単に倒れない。兵数で有利な我々が押している。


 彼らの後ろにフォン将軍の軍が出現した。かなり遠回りして裏を取ったのか。これで私たちの勝利は確定である。フォン将軍が彼らを攻撃すれば。その攻撃まで油断することはできない。私は両翼を厚くした。おそらく敵もこちらの挟撃を狙ってくる。後は、後ろを守らずに私を討ち取りに来るだろう。部下には攻勢をかけているように見せかけるように言った。これで時間が稼ぐことができる。


 フォン将軍は接敵する前に左右に分かれた。…やはり、私の味方をしているわけではなかったか。両翼では足りんが、これ以上、中央を削るわけにもいかん。そう見ていると、フォン将軍の軍は通り過ぎていく。もしかして、首都を抑えるつもりか。私の兵士は千ほどしかおらん。1万5千の軍では日寄っている貴族は全員、フォン将軍になびく。半分の兵士たちを残した。もう半分の兵士たちは助からん。しかし、それでもフォン将軍の背を追う必要がある。くそ、もう少しだったのに。


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