7話~とある新人兵士~
新人として初めての戦場。コーリン将軍の軍に入ってからは地獄だった。本当に訓練が辛く何度も諦めそうになった。兵士になるのは甘くない。それは分かっている。生死を分ける戦いを繰り広げるのだから分かっていたつもりだった。
人を殺すというのはかなりの重圧がある。同じ動物が常に殺し合わないようになっているのはこのためなのかもしれない。ただ、一番殺し合うのは人間である。訓練していても常にその殺すという行為が浮かんでくる。戦いになってから躊躇すれば簡単に命を取られてしまう。
先輩の兵士たちもそのことで悩んだらしい。なんというか、独特の感じがあるということだ。もちろん、悪いことではない。戦争というものだ。戦争そのものがなくなればみんないいと思っているが、人の欲望が果てしないために争いは起き続ける。そして、心配性なのもあるかもしれないな。戦争で人を殺すのは当たり前だけど、心の折り合いが難しい。
戦争での英雄に憧れているが、軍に入ってわかったのはそのことであった。英雄と呼ばれる人たちは戦争で人を殺しまくった殺人鬼に近いものだと。軍師となれば、その何倍も多くの兵士を殺し殺させてしまう立場だ。先輩から話を聞いたときには少しばかり動くことができなかった。
しかし、もうすぐ戦争が始まろうとしている。時間はあるけど、その壁を超えるかどうかは別の話だ。あくまでも自分の中での話。先輩の中でも兵士を辞めた人も多いらしい。才能があっても気持ちの面が成長できなかったというか折り合いがつかなかったということ。それからもいろいろな話を聞いたけど、やはり自分で考えるしかない。
そういえば、コーリン将軍の槍をもらった人は…、大丈夫ですか。雰囲気があるからということらしい。そうか…。目標はあそこか。追いつけるように頑張ろう。




