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58話~イーリン~

 ワカトシが孤立して少し経っている。彼が強いとは言ってもまだ1対1の戦いの場に限られていると思っている。コーリン将軍は多数の兵士と戦うことに慣れている。だから、問題なかった。結果的にコーリン将軍は重傷を負った。それだけ、兵士たちの強さが分かる。普通の兵士であれば両断されておしまいだ。


 他の兵士たちもワカトシ救出のために動いているが、思った以上に前へ進んでいない。周りの精鋭兵たちがうまく防いでいるのだろう。…ファウストの軍も動いている。なんとしてもワカトシを救う必要がある。しかし、どうしてファウストはワカトシを救う必要があるのか。いずれは敵になるという相手を。


 コーリン将軍の兵士を下げたことによって貴族の兵士たちも前に出てきてやがる。流れが貴族側に来ていると思っているのか。明らかに違うというのに。コーリン将軍の兵士たちが貴族の兵士を倒している。よし、ようやくワカトシまでの道のりが開けた。ワカトシに向けて叫ぶと精鋭兵が俺たちの方を警戒して兵を多くする。よし、このまま突っ込む。援護はファウスト軍の騎弓兵が牽制する。


 しかし、周りの貴族の兵士たちが割り込んでくる。調子がいい時だけ連携しやがって。これではすぐにワカトシのところへ行くことができない。ファウストの兵士たちが奮闘し、徐々に中へ入りこめる。


 ようやく前が…、ワカトシ、逃げてくれ。すでにお前の体は悲鳴をあげている。その男に挑むようなことは。くそ、止まらんか。ファウストの兵士たちも焦っている。そうだろう。ワカトシが引くと思っていたから。ワカトシの槍は避けられて、大剣がワカトシの体に吸い込まれる。男が少し仰け反っているためか、ワカトシの胴体はつながっている。しかし、ワカトシは地面に倒れたまま動かない。


 素早くワカトシを回収したが、男が迫っている。周りの兵士たちが必死に彼を倒しにかかるが、強い。それこそ、俺とワカトシでなんとかというところ。多くの兵士が死ぬ中でようやく包囲網を抜け出せた。すでに50人の兵士は全員死んでいる。ファウストの兵士たちも多く死んだようだ。だが、ファウストの兵士たちがいたことでそちらに何とか避難できた。ファウストがすぐに馬を貸してくれた。まだ、ワカトシは息をしている。


 まだ、逝くなよ。お前の戦いは始まったばかりだ。


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