表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/301

57話~クレア~

 戦いの中で兵士が埋もれるのは一瞬だと思っている。今回の戦いで一番危険なのは別動隊である百人の精鋭兵である。その精鋭隊はコーリン将軍を負傷させた。その事実は大きいけど、コーリン将軍から話を聞くと彼らは1人ではなく百人で1つの獲物を狙っている。兵士1人1人も強いのだろう。しかし、最も警戒すべきは連携の速さであると思っている。


 私ができることと言えばその百人をこの戦いで排除することである。ここまで戦いに参加したということは今後の対応もこの百人を作戦に入れていると考えるべきである。次に狙う獲物はどれか。彼らが狙っているのは単独で戦場を塗り変えることができる兵士、そして戦況が難しくなる場面で判断ができる兵士の2つ。それができるのは大将と参謀。この2つ。ただ、兵卒でも武力がかなり高い兵士は対象になるだろう。


 私とハーグ総司令は狙うのが難しい。後方に隠れているということもあるが、そもそも前に出ない兵士なので百人の規模では本陣に突撃する形になる。それこそ、本陣に味方が突撃した後に討ち取る形が一番良いはず。現状ではそのようなことになることはまずない。ならば誰を狙うのか。おそらく、イーリンであると思っている。


 イーリンは近衛兵の中でも若いのにも関わらず、武力は秀でていると評価されていた。カーソンのところにいるときも噂は届いているほどである。その彼を狙うのが順当だろうと思う。


 それを考えればコーリン将軍の兵士を動かすのは危険である。ギュンター帝国の軍を使うのが一番いいはずだ。ファウストに伝令を送ったが、すでに出撃準備を整えているということ。流石にギュンター帝国の将軍である。判断が早い。ハーグ総司令からももう少しコーリン将軍の兵士を下げるように伝令が届いた。前線まで伝令が行くまで少し時間がかかる。前衛の兵士たちには無理を強いるが、仕方ない。


 …誰かが走ってくるのが見えた。あれはイーリン。しかし、イーリンには誰もついてきていない。どういうことかしら。狙うなら彼のはずと思っていた。ハーグ総司令の伝令も少し困惑している。おそらく、この後、イーリンを別の場所へ移動させた後、百人の精鋭を討ち取るはずだった。


 前方から嫌な予感がした。…、あれはワカトシ隊か。狙っていたのはイーリンではなくワカトシ…。コーリン将軍の秘蔵っ子だというのが分かっていたのか。すでに他の兵士たちが救出に向かっている。しかし、間に合うの。おおよそ、20人ほど兵士に囲まれているワカトシが見えた。イーリンに50人の兵士を連れて向かってもらう。ファウストの直下の兵士たちも動いているわね。


 お願い間に合って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ