7話
兵舎の中で起きるとすでに日が見える。周りは薄暗いので日の入りだろう。井戸が掘っているところから水を汲む。初めてやったがうまくいかない。現代の日本では井戸からポンプでなくバケツで水を汲むところはないだろう。
近くにかけてあるタオルで顔を拭く。このタオルもいつ洗ったのかわからないので、1回水で濯いだ後に顔を拭く。今まで恩恵を受けているようには思っていなかったけど、現代の技術はすごいものだ。そのような時間を全て仕事に費やしているということは現代の人間は仕事をしすぎている。
朝起きて楽になったのは目である。今までパソコンでの仕事が多かったため、丸2日間目を休ませるということはなかった。目を休めることで肩や背中のわずかな痛みが無くなった。ただ、別の箇所が筋肉痛になっている。
体を拭いているとぼちぼちと兵士が起き始める。俺に挨拶をくれる兵士も多い。皆が昨日の戦いを見てくれていたのだ。個人的にはそこまで戦った覚えはなかったのだが、みんなが尊敬してくれるのであれば問題ない。新参者としていじめとかもあるわけだから。
ついに行軍の日がやってくる。下っ端の兵士には情報が下りてこない。全容は不明だが、思ったよりも大きな戦いになりそうだ。兵糧については個人で食べる程度の食料を持っている兵士はたまにいるらしいが、ほとんどの兵士はそのままついていくだけらしい。武器については自分の武器を持っている兵士は持っていき、持っていない兵士は配給品を借りることになる。もちろん、紛失しても罪に問われることはないが、横流しや自分の物として使えば犯罪になる。
本当に徴集するだけなんだと思ってしまう。もう少し何かやり取りがあると思っていたけど、集めるだけで十分忙しい。集まるだけでも大変だから。そして、この徴集が当たり前になっているのを見て、やはり別の世界に来ているのだと思った。




