45話
面白いほど敵兵の首が飛んでいく。コーリン将軍とクレアがこちらに来ようとしているが意味がないほどである。周りの兵士も困惑しているようだが、現実である。敵兵は多くの楯兵を用意している。その楯兵が来た時に思うように倒せなくなった。そして、体が異様に重い。一種のアドレナリンによって疲れを忘れていたのか。それでも前に進むべきだ。俺たちがかなり進んだことで周りの兵士も押し込めている。
しかし、ここにいる兵士たちは精鋭のようだ。簡単に倒せなくなったのは兵士が強くなったこともあるだろう。徐々に劣勢になっていく。コーリン将軍の突撃も本陣に近づくのは時間がかかる。ならばここで踏ん張るしかないのだが、如何せん体が動かない。この状態では全員が討ち取られる。
後ろから誰かが応援に来た。クレアの兵士たちか。周りを固めつつも楯兵が多く来ている。周りの兵士たちは後ろに下がっていく。クレアが周りを見る仕草をした。確かに俺は突出していた。我を忘れていたのだが、流石にやりすぎた。
コーリン将軍の兵士たちが突撃した。敵兵も対応している。想定内の威力だったのか。それともコーリン将軍の兵士たちを警戒していたのか。…、これで戦線が混戦となった。ここからコーリン将軍の兵士たちの強さが出てくる。しかし、敵兵も十分に強い。
数刻経ち、混戦のまま推移している。陣を構えているのは本陣のみ。それ以外は特に陣を構えていない。むしろ、コーリン将軍の兵士たちが敵兵の陣を整えるのを防いでいる。ようやく体が回復してきた。槍を持ったが少し重い程度である。クレアが俺の腕をつかんだ。行かないほうがいいということだろう。しかし、コーリン将軍の兵士たちが頑張っている中で俺が休んでいるというのは良くないと思う。
この日はそのまま終わった。前線で動いていたコーリン将軍の兵士たちを見て驚いた。敵兵の返り血で赤黒くなっている。そして、頭をはたかれた。これは仕方ない。俺が悪い。そして、イーリンには腹を叩かれた。影響を与えていないし、そんなに大した人間ではないと思っていたが、いつの間にか変わっていたようだ。認識を改めないといけないな。




