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1話

前作は人気が出なかったためお蔵入りとなりました。


ゆるくですが、更新を続けていきます。


楽しんでいただければと思います。

 ライトノベルを読みながら自分が無双する話を妄想していた。夢が広がるな。異世界に行って無双するのも面白いし、料理を作ってみんなに振舞うのも悪くない。しかし、どの作品も異世界が今のいる世界より劣っていることが前提になっている。ある意味、一部分だけなのだが。それでも行ってみたいという気持ちは抑えられない。本当にあるかどうかは置いておく。空想に浸ってばかりおらず部屋の中に現実を見なければならないものがある。


 そこにあったのは通帳である。通帳残高は200とある。つまり、200円しかないのだ。無駄使いをしたわけではない。彼にとっては漫画やライトノベルは人生と言っても過言ではないため、すべてを止めるのは不可能だ。しかし、今月は発売日が重なってしまったこともあり、10万のほどの大金が飛んでいった。Amazonプライムなどでも見ているけど、なかなか良品と出会えることも少ない。やっぱり、その時に読みたい本を読んでいくのが面白い。

 …もう10時か…。この時間になると眠くなってくるが、酒を少し入れると覚醒する。コンビニに酒を買いに行った。ビールを喉に流し込みながらライトノベルを開く。そう言いながらも10時くらいに明日の仕事を考えている。これだともうつまんないな。ライトノベルを閉じる。

 はっ、寝ていた。服をすぐに着替える。ぎりぎりか…。急いで電車に乗る。そのままいつものように寝ていた。



 そよ風が気持ちいいな。起きてみるとそこは少し陽が入る森の中である。夢の中か。地面に手を当てた。土の感触がやけにしっかりとしているな。木の表面もしっかりと感触が…、こんなに現実と思えるような夢は久しぶりだな。


 そのまま森の中を歩いた。スーツが暑い。今は冬なんだけどな。ジャケットを脱ぐ。シャツが少しだけ汗ばんでいる。夢の中だから、季節も逆転しているのか。しかし、何か森の雰囲気が少し違うような…。気のせいか。目の前に大きな猪が見える。大きいと言っても人間の背丈の2分の1ほどの猪…、サイぐらいの大きさだな。ただ、俺の方を見ているのが怖い。とりあえず、人間を好んで襲う生物ではあるまい。通り過ぎよう。


 後ろから大きな音が聞こえる。振り返ってみると猪が俺の方へ向かってきている。俄然、前を向いて走る。猪は体重が重たいせいか、思ったほどのスピードはない。しかし、現代の日本で培われた体力などはたかが知れている。っていうか何を考えているのだろうか。ここは夢の中で何も関係ない。明日からはまたライトノベルを読む毎日が続く。汗をかきながら走った。


 今まで走ったことない体は思ったよりも早く限界が来た。足は痙攣が来ている。大きな木の下で座り込んだ。幸いにして猪は俺の行方を追っているが、見失っているはずだ。リュックの中を少し探す。何もない。唯一使えそうなものと言えば懐中電灯くらいか。目くらましとして使用すれば猪の方から逃げてくれるかもしれない。しかし、この夢は長いな。こんなに怖い思いをすればすぐに覚醒するはずだ。


 背中に冷たい汗が伝う。もしかして、現実なのでは…。いや、そんなことはないはずだ。先ほどまで電車に乗っていたのだから。


 動物は匂いに敏感だ。大汗をかいている俺は森の中では少し匂うだろう。自然な匂いではない。動物の匂いとなって猪へ伝わる。手が震えている。それはそうさ。サイほどの大きな猪に追われれば怖いに決まっている。しかし、緊張は匂いの敵だ。体から別種の匂いがするようになる。猪は俺の方へ回ってきた。…、虫が良すぎたか。逃げる可能性は低いと感じていた。右手に持っている懐中電灯を握り締める。スイッチを押す。猪が走ってきたところに懐中電灯を投げて、必死に猪の体当たりを避ける。


 猪は混乱しているのか、その場をうろうろしている。手を見ていた。うっすら血が滴っている。痛みがある。確定した。ここは過去の世界かもしくは異世界だろう。そうでなければ、すでに目覚めているはずだ。



 猪の大きな声がした。振り返るとそこには皮の防備を着た男と女が立っている。彼らの足元に首筋に剣が刺さっている猪がいた。

 同時に首へ剣が当てられている。ゆっくりと見ているが、その剣は猪を倒した剣と同じである。よほどよく切れるのだろうか、太陽に反射してすごく光っている。


 この2人に出会ったことで異世界の国々の波に飲まれていくことになる。


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