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十彩  作者: サカキコウ
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プロローグ

こんにちは!サカキコウです。


書いてみたかった内容なので、一生懸命描きたいと思います。楽しんで貰えたら幸いです。


面白かったら、ブックマーク等してもらえたら嬉しいです。


ちなみに作品名は、「十彩」と書いて「といろ」と読みます。

ドン!ドン!ドン!

物が壊される時は、必然として重くて鈍い音がする。

ギシッとなれば壊れる寸前だ。

壊れてしまって良いことなど無い。

例えば家が壊れたら当然悲しい。…いや、通り越して辛いな。家は死活問題だから当然ではあるが、10年間大事に使っている物が壊れたから嫌だろ?それがどんなに安くたって。

つまりだ、壊すのは悪であり決して正義では無い。

だからどんな物だろうと大切にする気持ちは決して忘れないで欲しい。決してだ…。



「おーう、大地もう帰るのかー?」


時刻は4時半放課後だ。

放課後の過ごし方は人それぞれで、大半が部活動を行い、残りの少数が遊んだり帰宅したりと自由な時間を過ごす。いわゆる帰宅部だ。

ん?まてよ、帰宅部ということは俺は部活動をしているということになるのか?

そうか、なら俺は部長を目指して日々部活動に取り組もう。


「まぁな、今日は用事があるんだ。」

「そっか、気をつけて帰れよ!」


クラスメイトと軽く挨拶を交わし。階段を一段二段とゆっくりと下りる。

一応クラスメイトとは良好な関係を築けていると思う。確信はないが…。

言い切れないところが辛いよなぁ……。

まぁ、悩んだって仕方がない。ポジティブに行くとしよう。


絶妙に長い階段をおりきって、昇降口から外に出て自転車を跨いで帰宅する。……わけではない。

さっき言った通り、この後は用事ががあるのだ。


自転車を走らせること15分、後5分自転車を漕げば家に到着するくらいの位置にある、建物に止まる。

自転車を置き、建物のドアを開くとドアに付けられたベルが音を鳴らす。


「こんにちはー。」


「あら、大地くんこんにちは。今日のお迎えは大地くんなのね。」


優しそうなお姉さんが出迎えてくれる。


「はい、母が仕事で。」


「偉いわね!ちょっと待ってて、今奈七ちゃん呼んでくるわ。」


そう言って、お姉さんは、奥へと消えていった。

ここで今俺が今いる建物について説明しよう。

ここは、いわゆるデイサービスである。

学校では内緒にしているが、俺の妹はダウン症なのだ。

なので、俺は親が忙しい時は、代わりに迎えに来ることが多々ある。


「大地…くん」


妹の奈七が駆け寄ってくる。

もう小学生6年生ではあるのだが、やはり少し体が小さい。まぁこれはしょうがないことではある。

俺含め家族は気にしていない。


「おう、どうだった、楽しかったか?学校」


コクっとつから強く頷き返してくる。

奈七は、ダウン症の中ではそこそこ言葉も話せて、しっかりしている方なので、ある程度のコミュニケーションは取れているらしい。

元々の明るい性格もあってか、楽しくやれているようだ。


「そっか、じゃあありがとうございました。

優香さんまたお願いします。」


さっきのお姉さんの小泉優香さんに軽く挨拶をする。


「はーい、またね!」


そう笑顔で手を振ってくる。何あれ?反則じゃない?

整った顔立ちに、肩くらいまで伸びた異常な程に綺麗な茶髪。ただただ美人。

俺は少し顔を赤らめたのを誤魔化すために、頬をかいて、建物を出た。



自転車を引きながら、奈七と帰り道を歩く。

空はすっかり赤く染まり、カラスが鳴いている。

しかしまだ6時冬に比べればだいぶ日が伸びたが、まだまだ早い。

ゆっくりと空を見上げながら歩くこと数分、あっとゆう間に家に到着した。

山川と書かれた表札の家に入る。


「ただいまー。」

「た、ただい、ま。」


「おかえり!奈七ちゃん1週間ぶり」


リビングから小学校からの知り合いである、川崎美奈が出てくる。


「美奈、ちゃん!」


奈七は、両手を広げて美奈に抱きつく。

何故か、奈七は美奈にめちゃくちゃ懐いている。


先にリビングに行ってしまった2人を追いかけるように、俺もリビングに向かう。

リビングは、食事をする部屋とも繋がっていて食卓に並ぶ夕飯が目に入る。


「悪いな、いつも。」


「いいのよ。ほら、食べましょ?」


そう促され、俺も席に着く。

正面に美奈がその横に奈七が座っているという席順だ。

何故知り合いである美奈が、俺ん家で夕飯を作っているかと言うと俺もいまいち分かっていない。

一応小中高と一緒だし、俺の親とも昔から面識があるのだが、何故か親が仕事で忙しい時はこうやって夕食を作ってくれたりと、色々お世話になっているのだ。正直ここまでやってくれる筋合いがない。

だから少々申し訳ないと思ってしまう。


「なあ、お前学校で結構人気あるだろ?」

「何?急に」


美奈は、少し驚きながら聞き返してくる。


「まぁ、そうね。モテてないこともない、かな。」


照れながら、歯切れの悪い言い方で返事を返してきた。美奈がモテているというのは、自意識過剰でもなんでもない事実である。可愛い顔に大きいが少しだけつっている目、少し青みがかった紺色っぽい黒髪。

正直めっちゃレベルが高いのだ。


「なら、彼氏もいるんだろ?無理して手伝ってくれなくてもいいんだぞ?」


俺は申し訳なさからそう口にする。


「気にしなくていいわ。これは私なりの罪滅ぼしなの。」


それに彼氏は居ないしね、そう付け足しながら箸を進めている。

そっか、と俺も返事をして静かに箸を進めるのだった。

ちなみに奈七は、ご飯の時は全く喋らない。なんでも、食事中は静かにと、指導されているらしい。以外と特別支援学級は厳しいらしい。


リビングで少しくつろいでいると、7時半になっていた。

美奈は、女子だし顔もいい。あまり遅くなりすぎてしまうと危ないので、そろそろ帰らせた方がいいだろう。

そう思っていると、美奈も同じことを思ったらしく、帰りの支度を始めた。


「じゃあ、私帰るわ。」


「おう、そうだな。気をつけて帰れよ。」


「美奈、ち、ちゃんまたね。」


リビングに奈七を置いて俺は美奈を見送るために玄関の外まで行く。

流石に家に奈七1人を置いて送ることは出来ないので、いつも外までで勘弁してもらっている。それは、美奈も、わかっているため何も言ってこない。


「さっきの話なんだけどさ」

「さっきの?」

「無理して手伝ってくれなくてもいいってやつ」

「ああ、あれか。俺なりに申し訳ないと思ってな。」

「なら、今度2人で遊びに行くわよ。申し訳ないと思うならいいわよね?」


美奈が下から覗き込んでくるように、目を見てくる。

不覚にもドキってしてしまった。


「ふふっ、顔、赤いわよ。」


ツンと頬をつつかれ、うるせえと反抗するが効果もなく、じゃあ楽しみにしてるわ、と言葉を残し美奈は帰っていった。

美少女はずるいとそう実感した夜だった。

美奈も顔が少し赤くなっているように感じかが、きっと気の所為だろう。






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