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第九十六話 レストランからの出張依頼

王都で一・二を争うレストランの名店から店内を綺麗にして欲しいと出張依頼がやって来た。

しかし、実家から戻ってからはすべての出張は作業は断っている。それは貴族とか平民とか関係なくお断わりしていた。依頼の発端はどうやらタージさんに有ったようだ。


「すまん。チョコラ。あの店は俺が修行してた店でな。もう現場には立ってないがオーナーは俺の師匠なんだよ。それでな、突然この店に来てくれた時に店の掃除について聞かれたから、ついお前の話をしてしまったんだ……本当にすまん」

「そうだったんですね。わかりました。タージさんの紹介ということで特別に引き受けることにしますよ」

「別に無理する事ないぞ。俺の師匠とお前は無関係だからな」

「いえ、いつもお世話になってるお礼が十分に出来てないし、タージさんの顔が立つなら引き受けますよ」

「そうか…… 悪いな……」


タージさんにお店の場所と地図を書いてもらったから、店を閉めた夕方に下見がてら訪ねることにした。もちろんルーバとレーちゃんも付いてきた。目的はうまいと言われる料理を食べたいだけだろうけどね……


お店の名前はコミュレット。門構えが凄くて貴族の屋敷かと思ったほどだ。

門を入ったすぐにフロントがあり、ここで受付や馬車の待機所への案内をしていた。


俺はフロントが空くのを待ち、店舗クリーニングの件でオーナーのジュグレさんに会いたいと告げた。


「本日のお約束は有りますか?」

「急に来たので約束はしていません」

「それでしたら本日はお会いする事はできません。改めてアポを取って頂きお越しください」

「アポって何ですか?」

「お会いするお約束を取られることです」

「それは何処で取れば良いの」

「本来は事務所で受付けますが、本日は特別にこちらにて確認させて頂きます」

「ありがとうございます。お願いします」


しばらく待っているとフロントの奥にある部屋に案内をされた。


「申し訳ありませんでした。オーナーが今からお会いされるとの事ですので案内の者が来ますのでそれまでこちらでお待ちください」


それから更に10分程待っていると「ご案内致します」と馬車に乗せられ正面の入り口で馬車が停まった。

そこには先日話をした男性と老紳士が立っていた。


「チョコラ殿ですね、ようこそお越しくださいました。私はこの店のオーナーでジュグレ・マイスターと申します」

「初めまして。チョコラです。今日は約束も取らずに突然来てしまいすいませんでした」

「とんでもないです。こちらからお願いの話をしたのです。いつでも歓迎しますよ」

「ありがとうございます。今日は下見も兼ねて伺いました」

「それでは、引き受けてくれるのですかな?」

「はい。タージさんのお師匠様とお聞きしました。お世話になっている方のお師匠様なら断れません」

「それはありがたい。タージには感謝せねばいかんな。ハハハ~~」

「会長。お話は中にご案内してからにされては如何ですか」

「そうだな。ささ、こちらへお越しください」


案内されたのは客室の一つだろうか。10人位が入れる広さで、落ち着いた装飾品が施されていた。

だけど、その装飾品はかなり高価な物に見え、気後れしそうだった。


だけど、この店でタージさんが腕を磨いていたのかと思うとそれはそれで感動するものがあった。


ルーバとレーちゃんは作業を手伝って貰っていると言う事で、特別に許可を貰い一緒に通してもらった。


「では、本題に入りましょうか」


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