第九話 予約が殺到しています
うまいっ亭がリフォームしたかのような激変が俺が掃除した結果によるものとお客にも知れ渡り、「うちも頼みたい」とか「これを綺麗にして欲しい」などと持参してくるお客が増えたけど、店の方が忙しくて断っているけど、「どうしても急ぐから」と言うのは昼休みを利用してやっていたら、ミハルさんもタージさんも休む時間が無くなるだろうと心配をしてくれた。
ある日、断ってもなんだかんだと言ってくるお客に業を煮やしたのかミハルさんが「ミリアさんが戻ってきたら引き受けられるようになるから予約制にします。今から受け付けるわよ」と勝手に予約を受けだした。引き受けるのはこの店に持参出来る物で、出張は別途相談としたようだ。
ってか、俺が置いてきぼりになっている気がするんだけど……
ミリアさんが戻ってきたら俺はココから居なくなるわけだし、お店に持って来てもらっても無理なんじゃないのかな??
だからミハルさんに聞いてみたんだ。そしたら「タージと相談して裏庭に作業場を作ることにしたから、ミリアが戻ってきたらクリーニングに専念しなさい」って言われたんだ。
だけど裏庭って迷惑になるんじゃないのかな?
「でも、ミリアさんが戻ってきたら俺は契約が終わるので……」
「そうね。だけどここまでお店を綺麗にしてもらったお礼の気持ちよ。それともどこかで始められる場所が有るのかな?」
「いえ……無いですけど……」
「じゃ~ ここで始めたらいいわ。お金が貯まってお店が持てるようになるまでココで頑張りなさい」
ミハルさんの言葉にタージさんからも「おう。食器にテーブルや椅子。それに床や壁とこれだけ新品同様にするにどれだけの金が掛かると思う?」と聞かれたけどそんなの知るはずもない……
「……わかりません」
「たぶんだけどよ、安く見積もっても金貨10枚でも足りねぇかも知れん。本当なら俺らも金を払ってやりたいが正直に言って無理だからな。ならチョコラが独立出来るまででも場所を貸してやろうと言う事にしたのさ」
「…………ありがとうございます。お気持ちがとても嬉しいです」
思わず涙が出そうに……ってか、出ていたと思う。
今までいくつも職場を転々とし、こんなに優しくされたことが無かったから……
タージさんとミハルさんの好意に報いられるように頑張らないと。でもその前にミリアさんが戻って来るまでしっかりと仕事をしないとね。
「チョコラさん。今日までにクリーニングの予約がかなりあってすでに100件を超えたわ」
嬉しそうにミハルさんが教えてくれたけど、いつの間にそんなに予約を取ったのだろう??
しかもまだかなり先の話なのに大丈夫なのかなって疑問に思ったけど、ちゃんと仕事が出来るまで待ってくれると言うお客さんにも感謝した。
あぁ~早くミリアさん戻ってこないかな……と復帰が待ち遠しかった。