第八十六話 続・うまいっ亭にて……
厨房の変わりように驚いていたタージさんとミハルさんが何やら二人で話していたが、次はフロアの掃除をするために移動した。
前回の掃除から半年は経ったのかな? 床の汚れが目立っていた。ここもレーちゃんの羽を使った。
掃除と言うより不死鳥の再生だけど……
だけどうまいっ亭が安くて美味しくてお店も綺麗となればお客が寄ってくる。ミハルさんは忙しすぎるのも考え物よって良く言っているけど、以前より利益が上がっているようで機嫌は良いみたい。
羽を持ち振ろうとした時に、レーちゃんが『ご主人様。ここもレーちゃんがやるのなの』と言ってフロア中を飛び始めた。厨房の時と同じようにフロア中がキラキラと輝き出した。
レーちゃんは俺の肩に留まりフロアのキラキラが消えた時には床はもちろんだけど壁や天井までもが新築同然。テーブルに飾ってる花も元気さを取り戻していたように存在感を感じさせた。
「レーちゃんありがとう」
『わ~い。またご主人様に褒められたなの。嬉しいのなの~』
「レーちゃんのお蔭で早く終わったよ」
『いつでもお願いされるなの』
「頼りにしてるよ」
『頼りにされるのなの~』
レーちゃんの活躍でうまいっ亭の掃除が終わった。厨房に居る二人を呼んで見てもらったらやはり絶句した。
「これは前回の掃除の比じゃないな……」
「そうね。これは掃除レベルでなく改装レベルね」
「チョコラよ。これもレーちゃんの仕事か」
「……そうですね」
「良いか。他では絶対にさせるなよ」
もちろんそのつもりだったから即答で「はい」と答えた。
「しかし、レーちゃんと言い、ルーバちゃんと言いチョコラ君の処には神獣ばかりが集まるのね」
「まったくだ」
あぁ……ミハルさんにも呆れられているな……
後は、外の看板と暖簾だね。外ではレーちゃんにお願いする事が出来ないので、石鹸水と雑巾を使い看板を拭いていき、暖簾は外して店の中でレーちゃんの羽で一振り。ついでに石鹸水が有るので外壁やドアも綺麗にしておいた。
これで外も中も完璧だ。こんなので日ごろのお礼になるかどうか分からないけど俺に出来る唯一の事だからまたしばらくしたらやってあげようと思ったんだ。
レーちゃんのお蔭で作業を始めてまだ一時間も経ってないけど、二人の休憩時間が短くなってしまったから少しでも休んで貰うと俺も自分の家に戻って来た。
俺も騎士団や近衛隊の仕事が有るからね。三か月近くもお休みを貰ったんだからしっかり仕事しないとね。




