第八十四話 日常へと……
お店再開から10日ほどしてやっと見物目的のお客も落ち着いてきた。正直、ウンザリしてきていたからこちらとしては大助かりだ。だからと言って預かっている物がまだまだある。
しかし、この分だと今日か明日には全部仕上げることが出来そうなところまで来たので、もうひと踏ん張りかな。
相変わらず王太子殿下が遊びに来ていたようだが、相手をしている暇など無かったことから早々にお引き取りを頂いた事も有ったけど、それも仕方がない。元を正せば殿下が仕向けた事だからね。
時々、レ―ちゃんが『ご主人様。どうしてレーちゃんの羽を使わないのなの?』と聞かれたが、何処で誰に見られているか分からない。もし見られていたらまたひと騒動が起こる気がして封印してある。
たぶん、羽を使えばすぐ終わるし仕上がりも最高だろう。だけど俺自身の補正能力も抑えながら作業をしている。そこで羽など使ったら普通の仕上がり大作戦が台無しだ。
えっ、そんな作戦が有ったかって? 今思いついたんだよ……
夕方頃、大方の目星がつき安堵していた時に騎士団のアルウェイさんと近衛隊のカルラさんがやって来た。
「チョコラ殿おひさしぶりです」
「こんにちは。お久しぶりです」
「チョコラ殿が戻って来られたので手入れのお願をしようと来たけど、凄い事になっていたので遠慮していたがそろそろこちらもお願い出来ないだろうか」
「お待たせしてすいませんでした」
「いえいえ、あの行列を見た瞬間に無理だと分かっていましたからね」
「助かります」
それからお二人と今後の話をして、明日にはすべてが終わるので明後日から騎士団、近衛隊と依頼を受けることになって、これでやっと平常に戻れたのかなって感じがしてきた。
「チョコラ~ 夕飯もってきたわよ」
「ミハルさん。いつもありがとうございます」
そう言えば戻って来てから毎日持って来てくれてたからまたお礼でうまいっ亭の掃除をしようかな。
「やっと落ち着いてきたってところかしら」
「はい。明日にはいま預かっている分が終わりそうです」
「それは善かったわね。今夜こそはちゃんと寝なさいよ」
「……はい」
ほんと、ミハルさんは全部お見通しって感じだよ。隠し事が出来そうにない。っていっても隠す事なんか無いんだけど……。
でも、明後日から騎士団と近衛隊の仕事が入って来るから明日にはお礼の掃除をしなきゃね。その為には今夜は少し遅くまでやるか……とミハルさんに注意されたそばから反対の事を考えている俺も大概なのかもしれないと思った。




